トップページ >  お話データベース >  中国地方 >  島根県 >  おとみーさん
No.1073
おとみーさん
おとみーさん
高ヒット
放送回:0677-B  放送日:1988年11月26日(昭和63年11月26日)
演出:杉井ギサブロー  文芸:杉井ギサブロー  美術:青木稔  作画:上口照人
島根県 ) 23709hit
あらすじ

昔々、島根の頓原(とんばら)の才谷川(さいだにがわ)と神戸川(かんどがわ)が合流する辺りに吉兵衛(よしべえ)という爺さんが一人で住んでおった。

吉兵衛爺さんの気がかりは、近頃雨の夜には決まって地鳴りがして、その後女の泣き声が聞こえてくることじゃった。ある雨の夜、爺さんが声の正体を確かめようと千歯淵(せんばぶち)へ降りてみると、おなごが蹲って泣いておった。

このままでは体に障ると、爺さんはおなごを家に連れて帰ることにした。おなごは何も話さなかったが、爺さんは粥を食べさせ寝間に寝かしてやった。朝になると、おなごの姿は消えてしまっておった。

何日かした雨の夜、また地鳴りがして泣き声が聞こえてきた。爺さんが千歯淵に降りてみると、やっぱりあのおなごが岩を抱いて泣いておった。

爺さんが家に連れて帰ると、おなごはぽつりぽつりと話始めた。おなごは千歯淵に住む龍の娘で、年頃になったので母のいる天に昇ろうと、雨の晩を待っては雲に乗ろうとするのだが、体が弱くうまく乗れないのだという。

娘は爺さんの優しさに力がわいたと言い、今度こそ必ず天に昇ると言って帰って行った。爺さんは信じられん気持ちで、その後一度だけ淵を見に行ってみたが、龍が住むような気配は感じられなかった。

しばらくした雨の夜、いつもより大きな地鳴りがしはじめた。がたがたと家が鳴り、囲炉裏の灰が舞いあがった。「飛ぶんじゃ…!」爺さんが表に出ると、黒雲の合間に大きな龍が天に昇って行くのが見えた。爺さんは大きく頷いて、龍の娘を見送った。

『ど おッと一つ鳴れば雨、どどどおッと二つ鳴れば風、どどどおッと鳴れば雷、四つの時は大水、五つの時は悪い病気、六つは大騒動、七つは地震・山津波。このよ うに天から太鼓の音が聞こえたら、私からの合図と思って下さい。』龍の娘がお礼の印として吉兵衛爺さんに残した言葉だそうな。

おかげでその後頓原では大きな災いもなく安心して暮らすことができたという。今でも龍の娘を祭った祠がたっていて『おとみーさん』と呼ばれておる。

(ニャコディ   投稿日時 2013-2-2 12:03)


参考URL(1)
http://ameblo.jp/club-shimane/entry-11329167793.html
ナレーション市原悦子
出典島根の伝説(日本標準刊)より
場所について志々乃村神社(おとみーさんに所縁の神社)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このページを印刷
地図:志々乃村神社(おとみーさんに所縁の神社)
追加情報
このお話の評価9.4000 9.40 (投票数 15) ⇒投票する
※掲載情報は 2013/2/3 7:39 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話の移動 ( 22  件):   <前  1 ..  14  15  16  17  18  19  20  .. 22  次>  
コメント一覧
6件表示 (全6件)
ゲスト  投稿日時 2018/8/3 14:31
登場人物は事実上2人のみです。シンプルイズベストを貫いている人情にあふれる良い話だったので良く憶えています。
龍が顔を出さず、雲間に長い身体が延々とうねり昇っていくラストシーンの演出も心憎い。演出が杉井先生だったとは。さすがです。

あと、龍の化身の娘の裸身の艶めかしさが妙に子供心に印象に残っております(笑)。
ゲスト  投稿日時 2015/1/29 11:07
http://ameblo.jp/club-shimane/entry-11329167793.html
志々乃村神社(ししのむらじんじゃ)
ろーちき しまね


http://woodenplane.air-nifty.com/log/2010/11/post-1e0f.html
隠れた人気エピソード――おとみーさん
薄味
ニャコディ  投稿日時 2013/2/2 12:10
吉兵衛爺さんの優しさと、龍の娘のひたむきな努力に心温まる名作。
mitsuzakura  投稿日時 2011/12/11 9:36
龍学氏のサイトでもおとみーさんと志々乃村神社を取り上げていました。おとみーさんにちなんだ小祠があるそうなのですが、訪問時は分かりませんでした。社務所があったので聞いてみればよかったです。
beniko  投稿日時 2011/12/11 0:00
志々乃村神社(おとみーさんに所縁の神社)の地図をマッピングしました。紅子としては、この神社の方をマッピングした方が良いと思いました。教えてもらってありがとうございました。
mitsuzakura  投稿日時 2011/12/10 19:43
出典は「島根の伝説」(日本標準)ですが、あとがきを読むと「おとみーさんの淵は浅くなっていましたがありました。」と書かれていました。神戸川と才谷川の合流地点までは行ったのですが、見落としました。多分、才谷川の方だと思います。

神戸川と才谷川の合流地点には橋が架かっていて、欄干に龍のレリーフが飾られています。確認はとれていませんが、おそらく「おとみーさん」の伝説にちなんだものでしょう。

国道184号線を旧道沿いに入って進むと、志々乃村神社があります。おとみーさんに所縁の神社だそうです。
投稿ツリー
6件表示 (全6件)
現地関連情報
出典本調査 facebook
Twitter

オンライン状況

62 人のユーザが現在オンラインです。 (46 人のユーザが お話データベース を参照しています。)

新着コメント(コメント24件)