昔ある所に村があり、そこはよく肥えた土地で作物がよく実った。
だがある時その村に「足長」と「手長」という夫婦の魔物がやって来て、周りの雲をかき集めて太陽を隠し、そして何日も大雨を降らせて村人を困らせ始めた。村人は怒り、悲しんだが、相手が雲をつくような魔物だったのでどうすることも出来なかった。
そんな日が何日も続いたある日、一人の旅の坊さんがこの村にやって来た。村の様子を見た坊さんは村人から訳を聞くと、村で一番高い山に登り、「足長、手長出てこい!」と叫んだ。その声を聞いた足長と手長が現ると坊さんは「お前達はすごい力を持っているようだが、この小さな壷の中に入ることはできまい」と言って手の平に乗るほどの小さな壷を出した。
足長手長は「そんなことはわけは無い。出来たらお前の命をもらうぞ」と言って、見る間に小さくなると壷の中に入ってしまった。足長手長が壷の中に入ると、坊さんは壷のふたを閉めてしまい、衣の袖をちぎって壷をくるみ、山のてっぺんに埋めると上から大きな岩を乗せて足長手長が出てこられないようにした。
坊さんは「お前達は悪さばかりしていたが、これからは山の明神として奉ってやるから安心しろ」と言った。こうして村は救われ、後に「あれはきっと弘法大師さまだったのだろう」と噂した。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 福島県 |
DVD情報 | DVD-BOX第8集(DVD第38巻) |
場所について | 磐梯山 |
本の情報 | 二見書房[怪談シリーズ]第1巻_お化けがでたあ~(発刊日:1994年5月25日) |
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