足長手長

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昔ある所に村があり、そこはよく肥えた土地で作物がよく実った。 だがある時その村に「足長」と「手長」という夫婦の魔物がやって来て、周りの雲をかき集めて太陽を隠し、そして何...…全文を見る

足長手長

投稿者:マルコ 投稿日時 2013/6/22 15:36
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昔な、磐梯山にな、 足長手長という化物が住んでいたんだと。
足長というのはな、その名前の通り、足が長えくて、 足を延ばすとな、磐梯山から隣の博士山や明神嶽まで、ひとまたぎで歩く。空を真っ暗にして大雨を降らしていたんだと。そのがなる声は、ものすごくおっかなかったそうな。手長の方もな、名前の通りに手が長えくて、 手は磐梯山から出ちまって、 猪苗代湖の水、手ですくっては会津盆地にばらまき、 手ですくってはばらまきしてな、その水で顔をザブザブ、ザブザブ、ザブザブ洗ったりするでな。そんな時にはな、そのあたり、大荒れするんだと。

足長手長がふうっと息を吹きかけると、大風が吹いたし、手長が水をばらまくと大雨になった。 橋は、やすやすと流れて、あたり一面、大洪水になった。そういうときには、太陽が顔を隠す。
「月に2~3回なら、いいこんだ。そんだもんだら、まだいい」
毎日、霧ばっかりで、村人は食うもんが無くて、大変困っていた。
そこに旅の坊さんが、通りかかった。 村人の困った様子を見て、
「じゃあ一つ、わしが、足長手長の化けもんを退治してやるべ」
その坊さんは、見るからに弱々しく、やせこけていて貧弱な上に、ボロボロの着物を着ていた。
とても化物を退治する力のありそうな人には、見えなかった。 村人が、
「坊様、止めてください」
と、繰り返し頼んだが耳をかさず、お経を唱えながら、ずんずん山に登っていった。
山の上に着くと、坊様はどこから出るのか分からないほどの大声で、化物に呼びかけた。
「お~い、足長手長ア~、居たかあ~?」
すると、上の方から、
「おれ達を呼ぶのは誰じゃ~?」
とがなりながら、二人がけわしい峰の向こうから出てきた。
坊様「お前ら、出来ねえことはねえツーが、それ、本当かア~」
二人「オレ達に、出来ねえことなんて、何もねえ~だア」
化物達は、あっちの山こっちの山を足蹴[あしげ]にしながら、 ものすごい声でどなった。
坊様「じゃあ、でっかくなれるか~ア」
すると、足長手長は得意になって、みるみるうちにでっかくなって、天まで届いてしまった。
坊様「ありゃりゃ、う~ん、これは、すごい!」
得意満面の化物を見て、すぐに言った。
坊様「でっかくなったが、ちっこくはなれないだろう?(でっかくはなったが、チンチクはならにくな。)」
二人「チンチク? どの位だア?」
坊様は、懐から小さな小さな壺を取り出して、
「チンチクになって、この壺サ入れるか~?お前達には、入れまいな!」
化物達は、「へん」と胸を張り、チンチン、チンチンなんて、言いながら、壺の中に飛び込んだ。
坊様は、二人が入ったのを見届けると、壺の蓋をギッチリと締め、 衣の裾でぎりぎりっと丸めた。
化物達は、壺の中で大暴れしたが、蓋は二度と開かなかった。坊様は、その壺を磐梯山の頂上に埋めた。この坊様こそは、弘法大師様だという話もある。村人は坊様を讃えて、そこに磐梯明神を建てた。もう2000年以上も前になるが、 誰もその壺を見た人はいない。また、その側に、今も清水が湧いている。磐梯山に登る人は、この弘法清水を飲んで力を付けている、というこんな話だ。
ざーっとむかし、さかえもうした


磐梯明神とは?
足長手長を封印した瓶を埋めた磐梯山の頂上にある神社。
写真提供:猪苗代町(商工観光課)
http://www.rg-youkai.com/tales/ja/07_fukusima/05_asinagatenaga.html
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