No.1045
おらびぐら
おらびぐら
高ヒット
放送回:0659-A  放送日:1988年07月23日(昭和63年07月23日)
演出:しもゆきこ  文芸:沖島勲  美術:しもゆきこ  作画:大西治子
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あらすじ

昔、九州は宮崎でこんな話が残っているそうじゃ。

人里離れた山奥の谷に、炭焼きの家があった。雨が降る晩のこと、炭焼きの親父が寝ていて、悪夢にうなされて起きた。その悪夢とは、加減な納品の返事をした炭焼きの親父を、炭屋の商人がひたすら責めてくる夢だった。

親父は悪夢にイライラして手元にあったマスを投げると、小屋の隅に置いてあった琵琶にコツンとあたった。この琵琶は前年に旅の坊さんを泊めた時、お礼として貰ったものだった。

再び眠りについた頃、突然「ヨイ!!」と大きな声がした。親父は起きて戸を開けてみたが雨が降っているだけで誰もいない。おかしなこともあるもんだと思っていると、また「ヨイ!」と声がして、ついいつもの癖で適当に「おい!」と返事を返してしまっていた。

すると今度は「ヨイ!!!」と、家の中で声がする。気味悪くなってきた親父は家の中を走り回って返事をしていたが、やがて山姥が姿を現し、「ヨイ!!!」と叫んできた。

このあたりでは、山姥の声に返事をしてしまうと必ず声比べをしなければならず、もし負けてしまうと喰われてしまうと言われていた。親父は声を限りに山姥の声に返事をしていたが、喉はしだいに渇き、声がでなくなってきた。

もはやこれまでかと思った親父だったが、親父は置いてあった琵琶で返事をすることにした。山姥はずっと声をかけてくるので、もう親父は必死になって琵琶を弾いて返事をした。声比べは延々と続き、やがて山姥の気配が遠ざかるのと同時に親父は気絶した。

翌朝、親父は小川のせせらぎを聞いて目を覚ました。そして「あぁ、いい加減に返事をするもんじゃない」と琵琶を抱きしめながら何度もつぶやき続けた。この世の中で最も恐ろしいのはいい加減な返事をすることなのだという教訓のお話じゃ。

(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-9-14 0:34)


ナレーション市原悦子
出典宮崎のむかしばなし(日本標準刊)より
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追加情報
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※掲載情報は 2012/9/14 5:09 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
6件表示 (全6件)
ゲスト  投稿日時 2020/8/23 6:20
山姥だけがあえて静止画なのも、迫りくる恐怖感が増して最高です。
まんが日本昔話は、こういう演出が秀逸なものが多いですね。

ネットに出回っているおらびぐらの動画は、
所々、いかにもVHSビデオだなあと言う感じのノイズが入ったり、
音声が歪んで聞こえたり、これもまた何とも言えない雰囲気になっていますねw
なおさん  投稿日時 2012/9/14 17:23
広島県民ですが、
子供の頃大きな声を出してると、「おらびんちゃんな(大きな声をだしてはいけない)」と言われていました。
もみじ  投稿日時 2012/9/14 0:34 | 最終変更
山姥の顔が超怖かった((((;゚Д゚))))
いい加減な返事をしてはいけないと子どもに教えるにはもってこいでしょうね(・ω・;)
beniko  投稿日時 2011/10/20 17:59
おらびって宮崎以外でも使われるそうですね。※wikiを見たら九州地方でつかわれるとな。
wikiとか見ると、山おらび、オラビソウケ、という怪物の事が書いてありました。また、高知の妖怪のお話もあるそうです。
九州人の紅子ですが、おらび、って言葉は初めて知りましたよー。
araya  投稿日時 2011/10/20 11:05
「おらびぐら」って言葉。宮崎の方言で調べると、「おらび」というのは「大声・叫び」のことで、「大声を出す・叫ぶ」って意味の「おらぶ」が名詞になったもの、「ぐら」は「走りぐら」「飛ばしぐら」というように「〇〇比べ」という意味のものだったんですね。つまり、おらびぐらとは大声比べ。
言葉の意味は粗筋にもありましたけど、一つの単語からなる不可解な言葉ではなくて、日本語の文法を持った、意味のある方言だったことに、改めて驚かされました。

日本各地の地域性を感じさせてくれるのも、まんが日本昔ばなしの魅力の一つ。たまに「えっ、ここで〇〇弁?」って思う時もありますので鵜呑みにはできませんが、いい勉強になります。
sakime  投稿日時 2011/9/27 10:39
やまんばと炭焼きのおじさんの神経戦にほんとにハラハラしたのを覚えてます。しかし、こんな教訓ある話だったとは。
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