No.0226
こくのしょう
穀の精
高ヒット
放送回:0140-B  放送日:1978年06月24日(昭和53年06月24日)
演出:小林三男  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:上口照人
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あらすじ

むかし、四方を山で囲まれた小さな村がありましたが、この村は穀物が豊富であったために、村人は穀物を粗末に扱う癖がありました。

ある時、一人の坊さんがこの村を通りかかりました。村を抜け、峠を超える途中で日が暮れてしまったので、一軒の立派な屋敷に立ち寄りました。ところが、声をかけても誰も出てきません。人を探すうちに、ある部屋で蚊帳の中に羽二重の布団が敷かれているのを見つけた坊さんは、少し休ませてもらうことにしました。

その真夜中のこと。車を引くような音が聞こえ、坊さんの寝ている部屋の襖の前でピタリと止まりました。「おかか、おるか?」と声がして、真っ白で目も鼻も口もない化け物が部屋に入ってきました。続けて、真っ黒な化け物、真っ黄色な化物とありとあらゆる色の化け物が現れ、蚊帳をぐるりと取り囲みました。

化物たちは「おかか、おるか!」と大声で叫んで、坊さんの蚊帳を揺すり始めました。坊さんは、すっかり恐ろしくなり「わしはおかかじゃない!!」と叫ぶと、懐から数珠がこぼれ落ち、数珠に彫ってあった鶏が一声鳴きました。朝が来たと思った化物たちは、ゾロゾロと部屋を出ていきました。

翌朝、屋敷は跡形もなく消え去り、坊さんはただの原っぱで寝ていました。辺りには荷車の轍(わだち)が沢山残っており、その先の林の中には沢山の穀物が捨てられ腐っていました。

坊さんは、村に戻って村人に化物の正体を告げ、「穀物といえど命はある。一粒のコメといえど大切にしなければならぬ」と諭しました。村人は反省して捨てた穀物を弔い、安心した坊さんはまた旅立っていきました。それから化物は二度と出ず、村人は穀物を大切に扱ったそうです。

(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-8-13 0:30)


ナレーション市原悦子
出典岡山のむかし話(日本標準刊)より
出典詳細岡山のむかし話(各県のむかし話),岡山県小学校国語教育研究会,日本標準,1976年10月01日,原題「穀の精」,採録地「新見市菅生」,話者「竹本ぬい」
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※掲載情報は 2012/8/13 3:50 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
10件表示 (全10件)
ゲスト  投稿日時 2020/6/23 16:39
ヨーロッパのある地方は、このお話の村と同じで非常に食料豊か
だからその地域は、礼儀として、食事を少し残すのです、、、
綺麗に全部食べるのが良い、礼儀だ、というのが世界的に多いと思いますが、
食べ物が豊かすぎると常識が変わるのだと、ビックリしました。
もんた  投稿日時 2020/4/26 11:39
米をお大事にということくらいですかね。
n8  投稿日時 2015/11/20 23:32
私も子供心に恐怖心を植えつけられた作品です
死ぬほど怖かった・・・
ゲスト  投稿日時 2015/1/14 22:15
坊さん、巻き込まれすぎ!
穀物を大切に、という教えを村人に説くためにだけ、村人の代わりに怖い目に…w
ゲスト  投稿日時 2014/6/15 14:22
今見てもけっこう怖いですねー。>のっぺらぼうのお化けたち
それにしても「村人が余った穀物を捨てている」なんて話は初めてです。
米や豆の一粒でも粗末にしてはいけないという内容のお話なら他にもありましたが。
ギブソンギター  投稿日時 2013/1/31 23:25
どうも!「ギブソンギター」と申します。日本昔ばなし(特に怖い系のお話が好きな変わった奴です。) どうぞよろしくお願いします。
私は予告編から覚えてますよ! その頃新聞のTV欄にサブタイトルで「夏の怪奇特集」と銘打ってましたね。子供の頃、思いだしただけでトイレにいけませんでした。

特にあののっぺらぼうのUPは。
まりも  投稿日時 2013/1/23 19:55
まだ子供の頃に観たお話ですが、今でもその衝撃を覚えています。のっぺらぼうの穀の精たちが必死に叫んでいる姿。夏は蚊帳の中で寝ていたので、出てくるんじゃないかと怯えたり・・・。大人になった今、また観てみたいと思います。
KK  投稿日時 2012/11/5 22:04
この話は、自分の推測ですが岡山県美作市の大原町か粟倉村あたりの事だと思います。昨日、弟の試合で大原町に行ってきたのですが、なんとも自然豊かなところでした。この話の通り、四方が山に囲まれており、あたり一面田んぼですし、小さめな村です。粟倉村は、言った事はないのですが、こちらも大原町の隣の村なので、山に囲まれていると思われます。それに、この村の名前がこの話を思わせますね。粟がたくさん採れたのか、粟を保管する倉庫があったのか、正しいことは分かりませんがこのあたりだと思います。もし、詳しい事が分ったり知っている方がいらっしゃったらおしえてください。この話、好きなんで。
もみじ  投稿日時 2012/8/13 0:30 | 最終変更
穀物が捨てるほどあった小さな村ってすごいな(;´Д`)なぜ売りにいかない…。
年貢とかはどうなっていたんだろう…という素朴な疑問(・ω・;)
とのむら  投稿日時 2012/7/1 8:42
この話は、30年以上前に見ましたが、今でも印象に残っています。穀物の精たちが「おかか!おかか!」と叫んでいる姿は、忘れることができません。
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