昔ある所に、伍作(ごさく)という爺さん婆さん、その隣には仙蔵(せんぞう)という爺さん婆さんが住んでいました。伍作爺さん婆さんは親切で働き者、仙蔵爺さん婆さんは怠け者で嘘つきで欲ばりでした。
忙しい時期に限って病気になってしまう仙蔵爺さんでしたが、伍作爺さんは全く疑うことなく親切にお世話をしました。今日も仙蔵爺さんは体調が悪いふりして、田の草取り仕事を伍作爺さんに押し付け、自分たちは酒を飲んだりしていました。
その年の冬。伍作爺さんところの婆さんが、井戸に水を汲みに行った時に足を滑らせ井戸に落ちてしまいました。伍作爺さんは婆さんを助けようと、釣瓶(つるべ)の縄を帯に巻きつけるように上から声をかけ、婆さんを一生懸命に引き上げました。
すると不思議なことに、ずぶぬれになっていた婆さんの着物の袖に、沢山の小判が詰まっていました。伍作爺さん婆さんは、きっと井戸の水神さまからだろうと思って感謝しました。
それを見ていた仙蔵爺さん婆さんは、自分たちも小判をゲットしようと考えました。マネして婆さんが井戸に飛び込み、それを上から仙蔵爺さんに引き上げてもらう事にしました。しかし婆さんは、誤って縄を首に巻きつけてしまい、引き上げてもらった時には息が詰まって気絶状態でした。
もちろん袖には小判も入っておらず、二人そろって本当に風邪を引いてしまいました。怠け者にはろくなことがない、という事ですね。
(紅子 2012-10-19 0:41)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 伯耆の昔話より |
出典詳細 | 伯耆の昔話(日本の昔話 第15巻),福田晃・宮岡薫・宮岡洋子,日本放送出版協会,1976年04月20日,原題「井戸に小判」 |
このお話の評価 | 7.50 (投票数 2) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧