昔ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山で採ったキノコや薪(たきぎ)を売って暮らしていました。
ある秋の日。5日間も続いた長雨で、町へ売りに出かけることができず、仕方なくおじいさんはふて寝することにしました。ところが、あれほど降り続いた雨があがり、おじいさんは喜び勇んで町へ商売へ出かける事にしました。
おじいさんが町へ向かっている途中、空からハラハラと大きな熊鷹(クマタカ)の羽が落ちてきました。この羽がとても大きく立派だったので、おじいさんは羽を持ったまま町へ行きました。
町へ着いたおじいさんは、キノコや薪を売り始めましたが、町の人たちはタカの羽を高額で売ってくれと言い出しました。結局おじいさんは、拾ったタカの羽を百両で売り、大喜びして村へ帰っていきました。
村へ帰る途中、空に一匹の熊鷹が飛んでいました。おじいさんは「あのタカを丸ごと捕獲すれば、もっとたくさんのお金が手に入るだろう」と考えました。おじいさんは、熊鷹をおびき寄せるため、毛皮をかぶり岩陰に隠れて様子をうかがう事にしました。
やがて熊鷹はおじいさんめがけて急降下し、子牛の毛皮をかぶったおじいさんごとわしづかみにして、天高く舞い上がりました。熊鷹に持ち上げられ、地上に降りられる気配もなく、おじいさんがいよいよ死を覚悟した時、熊鷹は地上に向かって急降下しはじめました。
恐怖のあまり「助けてー!婆さん」と大声を出したとたん、おじいさんは自宅の囲炉裏の横にいました。これまでの事は全部夢だったのです。ほっとしたおじいさんは「あんまり欲をかいてはダメだなぁ」と思いましたとさ。
(紅子 2013-8-2 22:08)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 鳥取県 |
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