No.0389
べにほおずき
紅ほおずき

放送回:0243-B  放送日:1980年06月28日(昭和55年06月28日)
演出:しもゆきこ  文芸:沖島勲  美術:しもゆきこ  作画:しもゆきこ
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ある夏の一期一会

めったに人など通らぬ丹波の山奥に、今日は珍しく旅の男が通りかかりました。

男が木陰で昼寝している間に、すっかり日が暮れてしまい道に迷ってしまいました。一軒の炭焼き小屋を見つけて一晩の宿を頼むと、老夫婦は快く迎え入れてくれました。久しぶりのお客さんに、老夫婦は喜びながら、旅の男から都の話など聞かせてもらいました。

男は、たった一人の妹がもうすぐ結婚するという事で、都へ帰る途中でした。翌朝、目を覚ました男は、庭に真っ赤なほおずきを見つけました。丹波は紅ほうずきの産地なのです。

男は、幼少期に妹とほおずきで遊んだ事を思い出しました。赤い実を口に含んで軽く噛むとキュッと音がするので、妹はこれをとても喜んでいた事を懐かしく思い返していました。

そんな中、老夫婦が血相を変えて、男がほおずきを折ってしまった事をとがめました。お婆さんは「ほおずきはお日さまの赤ん坊。その赤ん坊の首をちょん切ってしまうなんて、きっとバチが当たるよ」と、言うのです。

それを聞いた男は、ちょっと不安になりました。するとタイミングよく大雨が降りはじめ、三人は急いで家の中にかけ込みました。お婆さんは「やっぱりバチがあたったよ。こんな雨だと今日は何にもできないから、さぁさ、旅の話でもして下さい」と言って、ゴロリと寝転がりました。

(紅子 2012-8-7 2:16)


ナレーション市原悦子
出典二反長半(未来社刊)より
出典詳細京都の民話(日本の民話41),二反長半,未来社,1965年10月10日,原題「紅ほおずきはお日さまの赤ん坊」,原話「小山田いと」
場所について丹波の山奥
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※掲載情報は 2012/8/7 2:16 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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Perenna  投稿日時 2019/7/30 21:50
この昔話は「聴聞草紙」(佐々木喜善)にも同じ話が収録されています。
「酸漿(ほおずき)
昔、ある旅人が山の中を旅して、一軒家を見つけてそこに宿をとった。
翌朝、起きて畑を見たら、美しい酸漿がたくさん紅く実っていたので、それを一ツとって中の種を出して口にふくんで、プリプリ吹き鳴らしていた。それをその家の人が見つけて、ひどく驚いて、お客様は大変なことをしてしまった。きっと今に大変な罰が当たると言って顔色を変えた。
旅人も心配になって、それはまたどうしてかと訊くと、毎朝お日様は、東から出て西へお沈みになさるが、そのお日様は夜になると、地の下を潜ってこの酸漿の中へ一ツ一ツお入りになる。それでこんなに色が紅くなるのだ。酸漿はお日様の赤ン坊だからと語った。
(胆沢郡西根山脈地方の話。織田君の話の二。昭和三年夏の頃の分。)」

「京都の民話」に収録されている「紅ほおずきはお日さまの赤ん坊」とはどのような関係があるのか?
気になるところですね。
ゲスト  投稿日時 2019/6/2 14:55
同じです。
不安感を煽られた様な記憶があります。
ゲスト  投稿日時 2019/6/2 14:54
なぜか非常に怖かった話。
この後何か良くない事が起こったんじゃ無いかと思わせる。
ゲスト  投稿日時 2018/4/24 4:51
オチがない不思議な話でした。小学生の頃、家族でこの話を見ていたとき、見終わった後の父親の一言「これで終わりか!?」がすごく印象的でした(笑)
ゲスト  投稿日時 2017/2/25 23:43
なかなか微笑ましいお話ですね。
現代から見れば他愛もない地方の言い伝え。
でもその話に恐れおののく気の良い兄貴。

この後妹さんの嫁入りには間に合ったのかな?
彼らの幸せを祈らずにはいられません。
ゲスト  投稿日時 2016/8/1 1:40
ちょっと怖かった印象のある話でした。
匿名希望  投稿日時 2014/7/23 15:08
私の大好きな昔話です!
ほおずきを鳴らす音が印象的に残ってます。
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