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No.0318
しっぺいたろう
しっぺいたろう
高ヒット
放送回:0199-A  放送日:1979年08月25日(昭和54年08月25日)
演出:小林治  文芸:沖島勲  美術:小関俊之  作画:須田裕美子
静岡県 ) 47148hit
あらすじ

昔、ある村にお民という女の子が住んでいた。お民は両親と早くに死に別れたが、猟犬のしっぺい太郎という頼もしい連れがいた。

しっぺい太郎の牙は鋭く、熊をも一撃で仕留め、またその足は素晴らしく、空中に飛び上がったかと思えば、もう空を飛ぶ小鳥を口にくわえていた。

ところが、この話を聞いた欲深い長者は、どうしてもしっぺい太郎が欲しくなった。長者は、お民の両親が自分に借金を残して死んだことを口実に、3日間だけしっぺい太郎を貸してくれと言う。長者にこう言われては断る訳にもいかず、お民は泣く泣くしっぺい太郎を屋敷に置いて帰った。

しかし、長者は3日経ってもしっぺい太郎を返してくれない。お民は仕方なく1人で山へ猟に出た。ところが、お民は山で野犬に襲われそうになってしまう。窮地に陥ったお民がしっぺい太郎の名を叫ぶと、長者の屋敷からしっぺい太郎が飛び出し、お民を助けにやって来た。

こうしてお民は事なきを得たが、長者はしっぺい太郎が勝手に屋敷から飛び出たことに腹を立て、お民を村から追い出してしまった。村を追われたお民としっぺい太郎は、海辺の村にやって来た。ところがこの海辺の村では、村を津波から守るため、毎年人身御供を捧げていた。そして村にもう娘がいないので、村人はお民を人身御供として祠に閉じ込めてしまったのだ。

村人が去ると、しっぺい太郎はお民の代わりに自分が祠の中に入った。やがて雷鳴が轟き、風が激しくなると、海の方から巨大な化け物が祠に迫って来る。しっぺい太郎は、化け物が祠に近づくと、ここぞとばかり祠を飛び出し、化け物の喉笛に噛みついた。

すると化け物の影は消え失せ、そこにはしっぺい太郎に追われる古狸の姿があった。そう、化け物の正体はこの古狸だったのだ。そして古狸を退治したしっぺい太郎は、いつの間にか人間の若者になっていた。神様がしっぺい太郎を人間に変えて下さったのだ。こうして人間になったしっぺい太郎は、以後、大好きなお民と末永く暮らしたそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-10-7 18:41)


ナレーション常田富士男
出典那須田稔(鎌倉書房刊)より
出典詳細父母が語る日本の民話(下巻),大川悦生,鎌倉書房,1978年4月20日,原題「しっぺいたろう」
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※掲載情報は 2012/10/7 18:41 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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もんた  投稿日時 2020/11/3 17:59
矢張りルーツがあるんですね。
あつ岡あつお  投稿日時 2019/11/26 20:23
長者の奴、約束を守らず、
しまいにはお民としっぺいたろうをふるさとから追い出すなんて、
酷い野郎だ‼️天罰をあたえたい気分だ‼️
ゲスト  投稿日時 2014/10/13 20:13
しっぺい太郎や早太郎系の話でこういうエンド(しっぺい太郎が人間になって元飼い主とハッピーエンド)はこの話以外で見たことないなあ…
自分が知らないだけかもだけど、もしかして日本昔ばなしオリジナル?
トモメル  投稿日時 2014/9/22 20:11
中国怪奇小説集 捜神記(六朝)岡本綺堂
中国の東晋の干宝が著した志怪小説集「捜神記」祭蛇記
http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/1298_11892.html

祭蛇記

 東越とうえつの※(「門<虫」、第3水準1-93-49)中みんちゅうに庸嶺ようれいという山があって、高さ数十里といわれている。その西北の峡かいに長さ七、八丈、太さ十囲とかかえもあるという大蛇だいじゃが棲すんでいて、土地の者を恐れさせていた。
 住民ばかりか、役人たちもその蛇の祟たたりによって死ぬ者が多いので、牛や羊をそなえて祭ることにしたが、やはりその祟りはやまない。大蛇は人の夢にあらわれ、または巫女みこなどの口を仮りて、十二、三歳の少女を生贄いけにえにささげろと言った。これには役人たちも困ったが、なにぶんにもその祟りを鎮める法がないので、よんどころなく罪人の娘を養い、あるいは金を賭かけて志願者を買うことにして、毎年八月の朝、ひとりの少女を蛇の穴へ供えると、蛇は生きながらにかれらを呑んでしまった。
 こうして、九年のあいだに九人の生贄をささげて来たが、十年目には適当の少女を見つけ出すのに苦しんでいると、将楽しょうらく県の李誕りたんという者の家には男の子が一人もなくて、女の子ばかりが六人ともにつつがなく成長し、末子ばっしの名を寄きといった。寄は募りに応じて、ことしの生贄に立とうと言い出したが、父母は承知しなかった。
「しかしここの家うちには男の子が一人もありません。厄介者の女ばかりです」と、寄は言った。「わたし達は親の厄介になっているばかりで何の役にも立ちませんから、いっそ自分のからだを生贄にして、そのお金であなた方を少しでも楽にさせて上げるのが、せめてもの孝行というものです」
 それでも親たちはまだ承知しなかったが、しいて止めればひそかにぬけ出して行きそうな気色けしきであるので、親たちも遂に泣く泣くそれを許すことになった。そこで、寄は一口ひとふりのよい剣と一匹の蛇喰い犬とを用意して、いよいよ生贄にささげられた。
 大蛇の穴の前には古い廟があるので、寄は剣をふところにして廟のなかに坐っていた。蛇を喰う犬はそのそばに控えていた。彼女はあらかじめ数石すうこくの米を炊かしいで、それに蜜をかけて穴の口に供えて置くと、蛇はその匂いをかぎ付けて大きい頭かしらを出した。その眼は二尺の鏡の如くであった。蛇はまずその米を喰いはじめたのを見すまして、寄はかの犬を嗾けしかけると、犬はまっさきに飛びかかって蛇を噛んだ。彼女もそのあとから剣をふるって蛇を斬った。
 さすがの大蛇も犬に噛まれ、剣に傷つけられて、数カ所の痛手に堪たまり得ず、穴から這い出して蜿打のたうちまわって死んだ。穴へはいってあらためると、奥には九人の少女の髑髏どくろが転がっていた。
「お前さん達は弱いから、おめおめと蛇の生贄になってしまったのだ。可哀そうに……」と、彼女は言った。
 越えつの王はそれを聞いて、寄を聘へいして夫人とした。その父は将楽県の県令に挙げられ、母や姉たちにも褒美を賜わった。その以来、この地方に妖蛇の患うれいは絶えて、少女が蛇退治の顛末てんまつを伝えた歌謡だけが今も残っている。
坊屋良子  投稿日時 2014/9/6 12:15
「早太郎」が活躍する『猿神退治』と同じルーツの話だそうです。
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