Re: しっぺいたろう の原書にあたる資料

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昔、ある村にお民という女の子が住んでいた。お民は両親と早くに死に別れたが、猟犬のしっぺい太郎という頼もしい連れがいた。 しっぺい太郎の牙は鋭く、熊をも一撃で仕留め、また...…全文を見る

Re: しっぺいたろう の原書にあたる資料

投稿者:トモメル 投稿日時 2014/9/22 20:11
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中国怪奇小説集 捜神記(六朝)岡本綺堂
中国の東晋の干宝が著した志怪小説集「捜神記」祭蛇記
http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/1298_11892.html

祭蛇記

 東越とうえつの※(「門<虫」、第3水準1-93-49)中みんちゅうに庸嶺ようれいという山があって、高さ数十里といわれている。その西北の峡かいに長さ七、八丈、太さ十囲とかかえもあるという大蛇だいじゃが棲すんでいて、土地の者を恐れさせていた。
 住民ばかりか、役人たちもその蛇の祟たたりによって死ぬ者が多いので、牛や羊をそなえて祭ることにしたが、やはりその祟りはやまない。大蛇は人の夢にあらわれ、または巫女みこなどの口を仮りて、十二、三歳の少女を生贄いけにえにささげろと言った。これには役人たちも困ったが、なにぶんにもその祟りを鎮める法がないので、よんどころなく罪人の娘を養い、あるいは金を賭かけて志願者を買うことにして、毎年八月の朝、ひとりの少女を蛇の穴へ供えると、蛇は生きながらにかれらを呑んでしまった。
 こうして、九年のあいだに九人の生贄をささげて来たが、十年目には適当の少女を見つけ出すのに苦しんでいると、将楽しょうらく県の李誕りたんという者の家には男の子が一人もなくて、女の子ばかりが六人ともにつつがなく成長し、末子ばっしの名を寄きといった。寄は募りに応じて、ことしの生贄に立とうと言い出したが、父母は承知しなかった。
「しかしここの家うちには男の子が一人もありません。厄介者の女ばかりです」と、寄は言った。「わたし達は親の厄介になっているばかりで何の役にも立ちませんから、いっそ自分のからだを生贄にして、そのお金であなた方を少しでも楽にさせて上げるのが、せめてもの孝行というものです」
 それでも親たちはまだ承知しなかったが、しいて止めればひそかにぬけ出して行きそうな気色けしきであるので、親たちも遂に泣く泣くそれを許すことになった。そこで、寄は一口ひとふりのよい剣と一匹の蛇喰い犬とを用意して、いよいよ生贄にささげられた。
 大蛇の穴の前には古い廟があるので、寄は剣をふところにして廟のなかに坐っていた。蛇を喰う犬はそのそばに控えていた。彼女はあらかじめ数石すうこくの米を炊かしいで、それに蜜をかけて穴の口に供えて置くと、蛇はその匂いをかぎ付けて大きい頭かしらを出した。その眼は二尺の鏡の如くであった。蛇はまずその米を喰いはじめたのを見すまして、寄はかの犬を嗾けしかけると、犬はまっさきに飛びかかって蛇を噛んだ。彼女もそのあとから剣をふるって蛇を斬った。
 さすがの大蛇も犬に噛まれ、剣に傷つけられて、数カ所の痛手に堪たまり得ず、穴から這い出して蜿打のたうちまわって死んだ。穴へはいってあらためると、奥には九人の少女の髑髏どくろが転がっていた。
「お前さん達は弱いから、おめおめと蛇の生贄になってしまったのだ。可哀そうに……」と、彼女は言った。
 越えつの王はそれを聞いて、寄を聘へいして夫人とした。その父は将楽県の県令に挙げられ、母や姉たちにも褒美を賜わった。その以来、この地方に妖蛇の患うれいは絶えて、少女が蛇退治の顛末てんまつを伝えた歌謡だけが今も残っている。
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