蜘蛛女の昔話は、昭和2年に出版された佐々木喜善の「老媼夜譚」にも収録されています。(コマ番号33/187)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1464152「或る小間物売りが路に迷って山奥に入って行った。はてこれは困った。何処かに宿るやうな所はあるまいかと思って歩き廻ってゐると、谷合によい案配に古寺があった。小間物売りは丁度幸いと思って、内に入って、永い事火を焚いたことの無いらしい炉に薪を採って来てくべてあたって居た。」という書き出しで始まっています。
女郎蜘蛛の化身の女が二階から降りて来て三味線を弾くのですが、弾くたびに男の首に糸がからみついて締めつけます。
男は小刀を箱から取り出して糸をぶつ切りにしますが、女は三味線を弾くのをやめません。
こんなことを何度も繰り返していてもしかたがないので、男は思い切って女を小刀で刺します。
二階に逃げていった女の後を追いかけると、部屋のすみに大きな蜘蛛が苦しがってうごめいていたので、男は小刀でとどめを刺しました・・・
辺見じゅんの書いた「蜘蛛女」は、佐々木喜善の話とは違うものなのでしょうか?
それとも「老媼夜譚」の話を元にして、改作したものなのでしょうか?
とにかく、東北地方に伝わる蜘蛛女のもともとの話は怪談であり、アニメで描かれているような切なくも美しい、人情話ではなかったらしいですね。