じっと昔、村の西にそびえている山々にも、 白馬岳にもはっきりとした名前が無かった頃のお話です。
かつてこの村の衆はこの山々をひとまとめにして「岳」とか「岳山」、そして「西山」と呼んでいたそうです。
山々が今呼ばれているような名前になったのは、じっと後のことです。白馬岳は越後(新潟県)、越中(富山県)、 信濃(長野県)の三つの国の境にありますから、 山を見る場所によって山の形も様々で、それぞれの国では山の名前も違っていました。
山の北東側の越後では 「大蓮華山」と呼んでいました。
真っ白な雪をかぶった山々が重なり合って続く姿が極楽の池に咲くという白蓮の花の姿に良く似ているからです。
山の西側、越中では「上駒ヶ嶽」と呼んでいたそうです。里の近くに馬の雪形が現れる「駒ヶ嶽」という山があり、 その奥に見える山なので「上駒ヶ嶽」と呼んだということです。
信濃では春先になると山腹に代かき馬の雪形が現れて、村の人たちに代かきの時期を教えることから「代馬嶽(しろうまだけ)」と呼んでいました。
村の野良仕事は山の雪形を見て進められてきました。その後「代馬嶽」が 「白馬岳」と書かれるようになりました。 またいつの間にか「白馬(はくば)」と音読みされるようにもなり、 今ではふもとの村や駅も「はくばむら」「はくばえき」と呼ばれています。
現在の白馬村では、白馬岳に関するもののみを「しろうま」と呼び、 それ以外の施設や地名はほとんど「はくば」と呼んでいます。
(近年あたらしく出来たしろうま保育園というのもあります)
また、『白馬』を「はくば」と読んでも「しろうま」と読んでも間違いではありません。
白馬岳を地元の人は「しろうまだけ」と読む人が多いですが、「はくばだけ」でも充分に意味は通じますし、 それをわざわざ間違いと指摘する人も(多分)いないでしょう。
(白馬ハイランドホテル)
http://www.hakuba-highland.net/shiroumadake.html