この昔話と似たような話は、大正4年に出版された「滑稽笑話旅鞄」という本に「天人の卵」という題で収録されています。(コマ番号43/120)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/954184/43「夏の日に饅頭の出来立てを買つて町中を通る子があつた。折しも黒雲が俄に蔽ひかゝつて、ぴかりと光る雷光と共に鳴り出す雷の音に、子供は驚いて駆け出す途端一つの饅頭を落して往つて、其後へ通り懸つた田舎者が二人、まだ饅頭を知らねば手に取つて見て、「これは不思議なもの、天人の卵でもあらうか、肌理がすべすべして居る、産み立てと見へてまだ暖かい、拾つて置けば天人の雛子になるであろう」と話し合つて、大事に家へ持ち帰り、日数を経るうち、暑中のことゝて周囲が青黒く黴び、白い毛が生へ、見るから恐ろしさうなものになつた、そこで二人は又考へて、「これは天人の卵ではない、夕立の来さうな空であつたから、雷神の卵かも知れない、さうとすれば今の内に叩き潰すが宜からう」と棒で叩き破ると、中から小豆の餡が飛び出した、「やア黒血の塊がこんなにある。」
この昔話の原題は「おにのたまご」ではなくて「天人の卵」らしいです。
ある人気女性声優のラジオ番組で、似たようなタイトルの「天使の卵」というのもありますが。(笑)