この昔話の元ネタは、どうやら昭和18年に出版された「肥後民話集」らしいです。
「ガマの国に遠征してすごすご逃帰った仁王さんの話」という話です。(コマ番号30/141)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1450606/30力持ちの仁王さんは、海の向こうに「ガマ」という別の力持ちがいることを知ります。
ガマの国に行って勝負を挑もうとしますが、ガマの奥さんも力持ちだということがわかりました。
「夫婦そろって力持ちなのでは、こりゃなにをされるかわからんぞ」と恐ろしくなって、あわてて日本に逃げ帰ります。
帰宅したガマは、仁王さんの乗った船に鎖鎌を投げつけて引き寄せようとします。
仁王さんが八幡大菩薩に一心不乱にお祈りをすると、神様がヤスリを授けてくれたので危うく難をのがれます。
それ以後、仁王さんは八幡様に恩義を感じ、楼門の番をするようになりました。
肥後で「がまだす」「がまだせ」という方言があるそうですが、これは「力を出す」「力を出せ」という意味なのだと解説されています。
「どっこいしょ」も、力を出したりするときに言う掛け声ですよね?
「薩摩・大隅の民話」(未来社)にも「開けずの箱」という題で、川内市に伝わる似たような話が収録されています。
このような昔話は、唐の国(中国)に地理的に近い九州地方には、あちこちに伝承されているのではないでしょうか?