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No.0114
におうとどっこい
仁王とどっこい
高ヒット
放送回:0069-B  放送日:1977年01月29日(昭和52年01月29日)
演出:樋口雅一  文芸:沖島勲  美術:樋口雅一(青木稔)  作画:樋口雅一
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あらすじ

昔、仁王というすばらしい力持ちがいました。仁王は、ずっと遠い唐の国に「どっこい」という力持ちがいると聞き、力比べをしようとはるばる舟に乗って唐へ向かいました。

どっこいの家には、おばあさんがひとり、留守番をしていました。「どっこいはいるかな。日本一の仁王さまが力比ベにきたといってくれ」と、仁王は大声でいいました。すると、おばあさんは、「今、じきに帰ってくるでな、少し待っててくれろ」と、笑って仁王に答えました。その間、野次馬が集まってきて色々と噂をしています。

仁王が聴いていると、「お前よりも体が大きい力自慢がやってきたが、どっこいに四肢を引きちぎられて、海に放り込まれてしまったよ」という話でした。やがて、遠くからどっこいがもどってくる地ひびきのような足音が聞こえてきました。

仁王は、怖くなって逃げ出しました。ところが、どっこいは長い鎖のついた大きなイカリをかついで追いかけていきました。仁王は、大急ぎで舟をこぎ出し沖に出ましたが、どっこいが投げたイカリが舟につきささってしまいました。

長い鎖でつながれた仁王の舟は、どっこいの手に引っぱりこまれそうです。そのとき、ハッと、日本の国を出るときに、八幡さまからもらったヤスリを持っていたことを思い出しました。

仁王が、鎖をヤスリでこすると、鎖はプッツリと切れました。とたんに、力いっぱい引っぱっていたどっこいは、ズデーンと海の中にしりもちをつきました。どっこいは、切れた鎖を見て「なんという怪力だ。おらでもこの鎖は切れないのに。勝負しなくてよかった」と驚きました。

それからです。重い物を持つときに、唐の国では「におう」とかけ声をかけ、日本では「どっこいしょ」というようになったのは。

(投稿者: マルコ 投稿日時 2013-7-20 19:05 )


ナレーション常田富士男
出典(表記なし)
DVD情報DVD-BOX第10集(DVD第49巻)
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追加情報
本の情報サラ文庫まんが日本昔ばなし第20巻-第100話(発刊日:1977年10月20日)/国際情報社BOX絵本パート1-第057巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第029巻(発刊日:1978年6月)
サラ文庫の絵本より絵本巻頭の解説によると「青森県の昔ばなし」
講談社の300より書籍には地名の明記はない
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※掲載情報は 2013/7/20 19:26 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2022/1/6 14:55
「佐賀の民話」第一集にも「仁王と賀王の力較べ」というタイトルで似た話しがありますね。
Perenna  投稿日時 2020/2/15 1:09
この昔話と同じような話は「種子島の民話・第一集」(下野敏見編・未来社)にも、「日本の仁王と唐の鬼谷(きこく)」という題で収録されています。
神さまがくれたヤスリで危機一髪のところを救われ、神さまのおそば近くに仁王の石像が立てられるようになった、というストーリーはすべてに共通しているみたいです。
この仁王にからんだ昔話の源流や原話は、いったいどこから、どんなふうに伝わってきたのか?
そのあたりの詳しいいきさつを、これからも調べ続けていきたいなと思っています。
Perenna  投稿日時 2020/1/11 0:36
この昔話の元ネタは、どうやら昭和18年に出版された「肥後民話集」らしいです。
「ガマの国に遠征してすごすご逃帰った仁王さんの話」という話です。(コマ番号30/141)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1450606/30

力持ちの仁王さんは、海の向こうに「ガマ」という別の力持ちがいることを知ります。
ガマの国に行って勝負を挑もうとしますが、ガマの奥さんも力持ちだということがわかりました。
「夫婦そろって力持ちなのでは、こりゃなにをされるかわからんぞ」と恐ろしくなって、あわてて日本に逃げ帰ります。
帰宅したガマは、仁王さんの乗った船に鎖鎌を投げつけて引き寄せようとします。
仁王さんが八幡大菩薩に一心不乱にお祈りをすると、神様がヤスリを授けてくれたので危うく難をのがれます。
それ以後、仁王さんは八幡様に恩義を感じ、楼門の番をするようになりました。

肥後で「がまだす」「がまだせ」という方言があるそうですが、これは「力を出す」「力を出せ」という意味なのだと解説されています。
「どっこいしょ」も、力を出したりするときに言う掛け声ですよね?
「薩摩・大隅の民話」(未来社)にも「開けずの箱」という題で、川内市に伝わる似たような話が収録されています。
このような昔話は、唐の国(中国)に地理的に近い九州地方には、あちこちに伝承されているのではないでしょうか?

墨石亜乱  投稿日時 2018/4/11 2:45
NHKの番組で六根清浄がなまって“どっこいしょ”になった言ってた。事実はそうかも知れないが「仁王とどっこい」説の方が好きだよなぁ〜
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