ごんぞう虫
昔、備前の国に貧しい親子がひっそりと暮らしていました。
懸命に働いても、一向に生活は楽にならず、ある時、とうとう母親は病気になってしまいました。子ども一人ではどうする事もできません。
やむなく・・親戚の、大百姓の権蔵伯父さんのところへ借金を頼みにでかけました。
ところが・・権蔵おじは・・「お前らのような仕事もでけん者に、金など貸せぬわい、」っとロクに話も聞いてくれません。
とぼとぼと・・帰る途中、川端の小さな祠に「おっかさんの病気を治して下さい」とお願いする事しかできませんでした。
橋を渡ろうとした時・・うしろから「これこれ、そこの小僧、チョッとお待ち」っと声がしました。
振り返ると、白髪の爺さまが・・
「小僧!ほれ・・いい物をやろう」と汚い下駄をくれました。
子どもが、怪訝な顔をしていると
「いいか・・よく聞け!この下駄を履いて、一回ころぶと、一升の米が出てくる・・・ただしな、ころぶごとに、お前の背丈が縮まるから、いっぺんに何度もころぶなよ!」
そう言うと・・お爺さんの姿は川霧のまぎれて、消えてしまいました。
子どもは、半信半疑ながら・・家にかえって、おっかさんに訳を話て、土間にムシロを敷いて、下駄をはいてころんでみました。
すると・・・・さらさら・・何処からとも無く米があふれ出てきます。
親子は、手を合わせ・・必要なだけを出しては、生活の足しにして居るうちに、病気も治り 生活も楽になってきました。
その・・不思議な下駄の話を・・何処で聞きつけたか、ある時
権蔵伯父さんが、この家にやってきました。
「ホ~これが、その下駄か・・チョッと借りてゆくぞ」っと勝手に神棚の下駄をひったくって、行ってしまいました。
「あァ~使い方を間違えると大変な事に・・・・」っと
息子があわてておいかけましたが・・・
権蔵は、家に帰ると、庭いっぱいに風呂敷を敷いて、
下駄をはいて、、ゴロン・・米がさらさら~・・
ゴロン・・さらさら~・・・・・
大喜びで転げまわりました。
息子が、権蔵の屋敷に駆けつけたとき・・・
庭いっぱいに、米の山が出来ていました。
けれど・・権蔵伯父の姿が見えません「おじさーん」と呼んでも
お米の山ばかり
気がつくと、米の山に埋もれて・・あの下駄があります。
よく見ると・・げたの鼻緒に、ちいさな黒い虫がへばりついておりました。
それから・・権蔵伯父さんは、とうとう戻ってきませんでした。
権蔵は夢中になって、自分の背丈が縮む事も気がつかず、とうとう小さな虫けらになってしまったのです。
お米に付く、小さな虫のはじまりだそうです。
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