酒が足らんさけ~新官市~
酒にまつわる話は多い。しかも、その多くは酒が故の失敗談であったり、そのしくじりが喧嘩口論に発展したというものだが、いまも新宮で語られるこの話は、いわば「酒飲みのへ埋屈」であり、そのために身近な笑い話として残ったものだろう。
その主人公というのは、とにかく酒好き。仕事はよくするのだが、ヒマさえあれば酒を飲むという男。身内も口を酢っぱくして意見するのだが、一向にききめがない。
そのうち、この男は酔って一本橋から足を踏み外し、川へ落ちてしまった。ところがそのいい分がおもしろい。
「いつもは一升飲んで渡ると、一本橋は三本に見える。そこでまん中を通る。だが今日は七合しか飲まなかったせいか、二本にしか見えなかった。どっちへ行こうかと迷っているうちに落ちてしまった」と。
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