この昔話は「日本の伝説42・岩手の伝説」に紹介されていました。
「横川目駅の南側を西方に行くと、大字岩崎山口に至る。
山口の里を貫流する和賀川に、貝殻淵というところがある。淵には、崖石が屏風のように切り立っており、貝殻が出るので、この名がある。またこの淵の下流には「ご前淵」という淵もある。ここには、いわゆる「黄金の斧」の伝説がある。斧を淵に落とした樵夫が、正直なるが故に黄金の斧を得、一年に二度も実がなる数粒の栗をもらって帰るという筋だ。樵夫は、持ち帰った栗を和賀の殿様に献上する。これが「和賀の二度栗」として近辺の評判になった。今もその木がどこかにあるというが、所在はさだかではない。」
また、大正8年に出版された「和賀郡誌」によると、次のように書かれています。(コマ番号125/171)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/960897/121?tocOpened=1「苔梅(古木)
大字山口、田代高橋伊三郎宅にあり。十数代前の主人某和賀川御前淵の崖上にて桜の木を伐らんとせしに、誤って鉈を水中に落し、とらんとして淵中に入り龍宮に至る。帰るに及び其記念として苔梅及び二度なりの栗の種を得、梅は此地に、二度なりの栗は二子城の辺に移し植ゑしなりといふ。」
和賀郡大字岩崎山口は、現在の地名では北上市和賀町山口となっています。
以前、御前淵の所在は紫波郡紫波町彦部であると、誤って情報提供してしまいました。
「岩手の伝説」で紹介されている和賀郡の御前淵のほうが、どうやら正しい場所らしく思われます。
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