猟師の磐司伝説というのは、もともとは岩手県の民話ではなくて、山形県の立石寺に因むものだったらしいです。
明治41年に出版された「山寺名勝志」という本に、磐司にゆかりのある遺跡について書かれています。(コマ番号52/80)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/763541/52「磐司祠
五大堂の側の巌窟を龕(がん)と爲し、磐司の像を安ず、毎年旧暦七月七日祭礼を施行す、俗に山寺の祭礼と称し・・・往昔磐司は其の弟磐三郎と共に当山に住し、獣猟を以て生計と爲し居りしが、遂に大師の教化を受け、深く仏法を信じ、渓間を奔走し、大に大師に力を添たるものなり。」
また、磐司が居を構えて猟をしていた「磐司巌」という名所もあるそうですが、こちらは現在では、隣接する宮城県仙台市太白区秋保町馬場に編入されてしまったそうです。
松谷みよ子が岩手県のどこでこの昔話を採集したのかは不明ですが、おそらく「磐司磐三郎」(または「磐司と万治」)の物語は、東北地方のあちらこちらに、手を変え品を変えて伝わっているのではないでしょうか?
早池峰山の麓にある磐司ケ洞の出てくる民話や昔話については、もう少し詳しく調べてみたいなと思っています。