昔、岐阜の中野村というところには、沢山のキツネが住んでいました。
ここのキツネたちは「桑下」「羽白」の二派に分かれて、いつも喧嘩ばかりしていました。桑下チームには三吉という男キツネ、羽白チームには小女郎という女キツネがいました。
ある喧嘩の最中に、三吉と小女郎が出合いました。三吉は、小女郎がメスだとわかると力勝負を避け、化け比べをすることで勝敗をつける事を提案しました。この提案にのった小女郎は、ある月の美しい晩に勝負することにしました。
この時、三吉は殿様行列に化け、小女郎はおいらん行列に化けました。どちらも素晴らしい化けっぷりで、化け比べをしている最中に二人は恋に落ちました。
この二人の禁断の恋に、それぞれのチームは激怒し、二人を合わせないように監禁しました。やがて、小女郎に会いたくてたまらなくなった三吉は、見張りのキツネを殴り倒して、小女郎が監禁されている羽白へ向かいました。
しかし、小女郎を見張っているキツネたちにボコボコに殴られて、その傷が元で三吉は死んでしまいました。小女郎は悲しみのあまり、後を追うように川に身を投げて死んでしまいました。
この事で、それぞれのチームは「こんな事だったら結婚させてやれば良かった。もう喧嘩は止めだ」と言って、自分たちの愚かさを反省しました。そして、中野村の人たちは「三郷稲荷」を建てて、三吉と小女郎をまつりました。
(紅子 2013-10-13 0:36)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 岐阜県 |
場所について | 三郷稲荷(さんごういなり) |
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