昔、ある村に、貧乏な炭焼きの男が一人で住んでいた。
ある時、田んぼでこき使われている痩せた馬を見かけた。可哀そうに思い、炭俵一俵と交換して連れて帰った。男は、このやせ馬に仕事をさせようとは思っておらず、ただ可愛がった。
ある時、やせ馬が男の家からいなくなった。男は心配しながらも仕事場へ行くと、やせ馬は仕事の手助けをしようと炭焼き小屋で待っていた。男はこの馬の気持ちが嬉しくて、馬には炭俵一俵だけ背にのせて、自分は焚き木を背負って家へ帰った。
ある年の事、日照りが続き村は大不作だった。男も馬も食べる物にも困り、ついに馬が炭俵を背負ったまま、石につまずき大きく転倒してしまった。男は、足が折れた馬を背負って家に連れて帰ろうとすると、男の背中で馬の姿が背負子(しょいこ)に変わった。
この背負子はたくさんの物を運ぶのにとても便利で、男はこの背負子を大切に使った。最初はやせ馬をバカにしていた村人たちも、マネして背負子を作ってみるととても便利だったので、みんなが使うようになった。この地方では、背負子の事を「やせうま」というそうだ。
(紅子 2011-12-5 1:45)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 福島県 |
講談社の300より | 書籍によると「福島県のお話」 |
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