むかし秋田は横手市の五郎兵衛というお爺さんが畑でかわいらしい蛇を見つけた。
子のない五郎兵衛は連れて帰り、蛇に太郎と名づけ子のようにかわいがり育てた。しかし、太郎はドンドン大きく育ち、近所の人やお婆さんも怖がってしまう。
仕方なく五郎兵衛は太郎を泣く泣く大戸川へ放した。いつしかそこには淵ができ、淵にはに大きな蛇の影が出るようになった。太郎がヌシになったんだろうと噂になり、五郎兵衛淵と呼ばれるようになった。
そんなある時、お婆さんが病気になり寝込んでしまう。五郎兵衛は大雨の中横手の町まで薬を買いに走るが、戻る途中の大戸川の橋が流されて帰れなくなってしまった。
すると、川に大木のようなものがかかり、渡ることができた。五郎兵衛がよく見るとその大木は太郎だった。しかし太郎は五郎兵衛を無事渡した後、幾重にも折れ、濁流に流されてしまった。
(引用/龍学-dragonology-)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 松谷みよ子(未来社刊)より |
出典詳細 | 秋田の民話(日本の民話10),瀬川拓男、松谷みよ子,未来社,1958年07月30日,原題「五郎兵衛淵」,採録地「平鹿郡」 |
9.29 (投票数 7) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧