昔、京の大仏さんと奈良の大仏さんが一緒に伊勢参りに行くことにしました。
大きな体の二人でしたが、なかなか伊勢には到着せず昼になってお腹が減ってきました。そこで山の中の蕎麦屋に立ち寄り、二人ともお腹いっぱい食べました。しかし、食いに食いまくった後に、二人ともお金を持っていない事に気が付きました。
これはエライことになった、と蕎麦屋の主人に気づかれないように走って逃げだしました。しかし体が大きい大仏さんの事、すぐに息切れして走れなくなり、カンカンに怒った蕎麦屋の主人に追いつかれてしまいました。
蕎麦屋が、棒(蕎麦打ち棒)で奈良の大仏さんの頭を叩くと「クワーン、クワーン」と鳴りました。それを聞いた蕎麦屋は「おのれ!あれだけ食っといて“食わん食わん”とは何事だ」と言い、今度は京の大仏さんの頭を叩きました。すると「コツコツ」と音が鳴り、「コツコツ返すというなら、そう言わんかい」と言って、許してくれました。
それから二人は一生懸命にお金を貯めて、蕎麦代をコツコツ返したそうです。
(紅子 2011-12-24 23:04)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 京都のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 京都のむかし話(各県のむかし話),京都のむかし話研究会,日本標準,1975年03月20日,原題「大仏の食いにげ」,採録地「京・山城の話」 |
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