昔、神様が天と地と生き物を作ったばかりの頃、もちろん人間も生まれたばかりの頃、人間は特に何をすることもなく日々をすごしていた。
ある時、神様はふと人間は一体何を食ってるのかと思った。神様は人間を他の生き物より少しは利口に作ったので、気になったのだ。早速、家来が地上に降りて調べてみると、その頃人間は腹が減ると雨の水を大口を開けて飲み、腹を満たしていたのだ。
それを聞いた神様はそれはちと可哀想だと思い、天から食い物を降らせてやった。それを人間達が食べてみると、とても美味しいもので喜んだ。それは御飯を炊いたものだった。それから神様は一日一回、白い御飯を降らせてやった。
それをしばらく続けて神様は、その後人間はどうしているのかと思い、また家来に調べてくるよう言い付けた。家来が調べると、何と人間達は余った御飯をまりのように蹴って遊んでいた。それを聞いた神様は怒り、二度と御飯を降らせなかった。
人間達は白い御飯を口にできなくなり、また御飯の味を覚えてしまったため雨水など飲む気になれなかった。それで毎日空腹ですごしていた。そんな日が続き、人間たちが天に向かって「白いもん降ってこーい!」と大声で叫び始めた。その声は天の上の神様の耳にも届いた。
その声があまりにうるさいので、神様は御飯もろくにのどを通らなくなってしまった。そしてそんなに白いもんが欲しけりゃ降らせてやると、神様は白いものを降らせた。喜んだ人間がそれを口にすると、それは雪だった。
こうして食べ物をおもちゃにした人間は、寒い「冬」というものを迎えなくてはならなくなった。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 武田正「山形の民話」より |
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