昔々、蛇は目玉が無くて、土の中で歌を唄って暮らして居ました。一方、みみずは大きな目玉を持って居ました。
蛇が声を張り上げて唄うと、お天道様も風の神様も雲も歩みを止めてじっと聞き入るのでした。
皆に人気がある蛇を羨ましく思ったみみずは、ある時蛇の住処を訪れて「俺の目玉とお前さんの良い声を取り変えてくれないか」と頼みました。
蛇は最初はその頼みを渋りましたが、みみずが「今は栗の花の盛りで、その眺めはとても見事なものだ」などとあんまり繰り返しては蛇をそそのかすもので、ついに蛇も折れて目玉と声を取りかえる事にしました。
以後、蛇は目玉を持つようになり、地上に出て暮らすようになりました。一方、みみずは良い声をもらって大喜び、毎日毎日上機嫌で唄い続けて居ましたが、唄い過ぎて喉が枯れてしまい、か細い声しか出せないようになってしまいました。
みみずは後悔しましたが、今更蛇に目玉を返せとも言えず、今でもか細い声で歌を唄いながら、土の中で暮らしているそうです。
(投稿者: 熊猫堂 投稿日時 2012-10-29 18:03 )
ナレーション | 市原&常田 |
出典 | 瀬川拓男(角川書店刊)より |
出典詳細 | 動物の世界(日本の民話01),瀬川拓男,角川書店,1973年5年20日,原題「蛇とみみず」,伝承地「関東地方」 |
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