昔、和歌山のある山里に、茂平と熊蔵という若者がいました。性格が正反対な二人はとても仲良しで、気弱でのんびり屋の茂平は熊蔵の事を「兄貴、兄貴」と言って慕っていました。
ある日、茂平は米問屋の娘を好きになってしまいました。うじうじしている茂平を見かねて、親分肌の熊蔵がイモリの黒焼きで作った惚れ薬を用意し「これを娘にふりかけるように」と、茂平に持たせました。
茂平は米問屋の前で娘が出てくるのを待ち伏せました。娘がようやく出てきたところで、茂平は惚れ薬の粉をふりかけました。ところが惚れ薬は、隣にいた鬼みたいな顔のお婆さんにかかってしまい、一度目は失敗に終わりました。
茂平は、熊蔵に促されて再び米問屋へ出かけました。やがて、娘が一人で出てきたところで惚れ薬をふりかけました。すると、たまたま目の前を横切った貧乏神に薬が降りかかってしまい、茂平は今度は貧乏に取り付かれてしまいました。
貧乏神に付かれた茂平は、もう娘どころではなくなってしまい、それはもう必死に働かないと生活できなくなりました。おかげで、茂平は立派な青年になって、大金持ちにもなって、米問屋の娘よりもっと美しい嫁を貰って幸せに暮らすことが出来ました。
(紅子 2012-7-15 23:28)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 和歌山県 |
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