No.0990
とらこぶち
虎子淵
高ヒット
放送回:0624-B  放送日:1987年11月14日(昭和62年11月14日)
演出:なべしまよしつぐ  文芸:沖島勲  美術:なべしまよしつぐ  作画:なべしまよしつぐ
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あらすじ

昔、陸奥に老舗の大きな造り酒屋がありました。この酒屋は、後を継いだばかりの若い主人が急死し、19歳で後家になった嫁のユメが一人で取り仕切っていました。

ある秋の日、酒屋の前に小さな子猫が捨てられていました。冷たい雨に降られてずぶ濡れになっている子猫に、下男(使用人)の八助が優しく話しかけました。「お前も捨てられたのか…。お前もおらも捨て子だなぁ」

拾われた子猫は「虎子」と名づけられ、ユメと八助で大切に飼われるようになりました。この虎子は不思議な猫で、ほんの時たまですが人間の言葉を話す事がありました。「八助、ユメの婿になれ、ユメの婿になれ」

しかしこの事は、ユメの婿になりたかった番頭さんにとって、面白くありませんでした。ユメと結婚し酒屋の主人になりたかった番頭は、どうにかして八助を亡き者にしようといろいろと画策しました。結局、度重なる番頭の意地悪が原因で、八助は橋から落ちて死んでしまいました。

八助が死んで初七日頃から、番頭はわけのわからない事を口走るようになり、突然行方知れずになりました。度重なる不運に、ユメは八助の墓前で手を合わせながら、虎子に自分の秘密を打ち明けました。「虎子、私も拾われっ子だったのよ。拾われた子は運が薄いのねぇ」

それからしばらくして、虎子は野良イヌ達に襲われ、八助と同じ淵に落ちて死んでしまいました。人々はこの不思議な猫の事をいつまでも忘れませんでした。

(紅子 2012-5-22 1:41)


ナレーション市原悦子
出典青森県
場所について虎子が落ちた淵(下戸ヶ淵)
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地図:虎子が落ちた淵(下戸ヶ淵)
追加情報
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※掲載情報は 2012/5/22 1:41 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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もんた  投稿日時 2020/5/5 11:03
悲しいお話です。
虎  投稿日時 2019/2/10 7:45
この絵柄で猫が救われるリメイクせなあかんで
ゲスト  投稿日時 2014/10/13 23:25
救いも何もない話ですな
日本昔ばなしは結構こういう後味悪い話が多い
araya  投稿日時 2012/5/24 9:00
昭和4年8月1日発行の『旅と伝説』(2巻8号)に「奥羽巡杖記」という論文が掲載されており、そちらでは下記のような伝説として紹介されております。

虎子という飼い猫をかわいがっていた大橋雅楽之助が、淵に転落して命を落とした。これを下部が淵という。虎子は酒粕を盗み出して毎日この淵に落とした。これを見た人たちは、男に手向けているのだろうと感心した。しかし虎子も最後には犬に噛み殺された。

採録は下北郡とのことですが、下部が淵という地名はなく、川内川渓谷に下戸ヶ淵と呼ばれるものがありました。カヘガフチと読むのであれば下戸を下部と誤記した可能性もあり、下北半島の青森県むつ市に所在という点から、作品の舞台として紹介された陸奥や上記論文の下北郡とも符号が一致しますので、こちらを虎子淵として地図情報を紹介したいと思います。
なお、GoogleMapでは地名表示がありませんでしたので、地名のある国土地理院の地図も合わせてあげておきます。なお、国土地理院での地名漢字は「下戸ヶ渕」となっておりますが、むつ市観光協会では「下戸ヶ淵」となっておりますので、こちらで間違いはないと思います。

http://g.co/maps/ee5cf
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=140.97797222304&latitude=41.272950412321
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