No.0929
わらのもとゆい
藁の元結

放送回:0584-B  放送日:1987年01月31日(昭和62年01月31日)
演出:大竹伸一  文芸:沖島勲  美術:渋谷幸子  作画:大竹伸一
岐阜県 ) 17399hit
あらすじ

昔、飛騨の山奥の小さな村の外れに年老いた夫婦が住んでおりました。爺様は体を悪くして病気がちになり、ある冬とうとう亡くなってしまいました。

一人になった婆様はすっかり生きる張りをなくしてしまい、何日もただ座っているだけでした。吹雪のふくある朝、婆様は爺様のところへ行こうと墓の前で凍死するつもりで座りこみました。

その時、どこからか旅の坊様が現れて、一夜の宿を婆様に頼みました。婆様は死ぬつもりでしたが、困っている坊様を見ているうちに最後に人のお役に立ってから死のうと思い、坊様を家に案内しました。

婆様は僅かに残っているヒエを味噌に代えてもらおうと町へ出かけました。婆様は、行く道で「こんなバサバサの髪では追い返されてしまうかもしれない」と思い、近くにあった稲わらの中から芯を抜いて、「少しの間お借りします」と言って、藁で髪を結いました。夕方、味噌を交換して帰ってきた婆様は、「おおきにでした」と礼を言って、藁の芯を元に戻しました。

次の日、坊様は「長年連れ添った爺様を亡くされて、さぞお辛かろう。じゃが、天寿を全うすることが先に逝った者への何よりの供養になる。一本の藁にも礼を言う貴女だから、仏の加護がきっとある。生きなされ」と婆様を諭して、旅立っていきました。そして気が付くと、爺様のお墓に巾着袋(財布)が置いてありました。

婆様は、坊様の言ったとおりに天寿を全うしようと巾着のお金を大切に使い、生きて爺様のお墓を守り続けました。そして、巾着のお金は不思議なことにいくら使っても決して無くならなかったそうです。

(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-8-29 22:55 )


ナレーション常田富士男
出典江馬三枝子(未来社刊)より
出典詳細飛騨の民話(日本の民話15),江馬三枝子,未来社,1958年12月20日,原題「藁の元結」
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※掲載情報は 2012/8/29 23:57 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
通りすがりの老人  投稿日時 2019/3/22 0:28
誠実に生きるということは、心の豊かさとは逆に経済的な貧しさを受け入れなければならないことも多々あるようです。でも、人生の終焉を迎えて過去を振り返ったとき、多少なりとも精一杯やったという充足感さえあればもうそれで十分なのではないでしょうか、そんな思いを抱かされるすばらしい作品だったと思います。
saya  投稿日時 2013/6/11 16:54
こんにちわ。
こどもの頃に本放送でみて以来、ずっと気になっているお話でした。
おばあさんが一本の藁を返すところを強烈に覚えていました。
今日、ふと検索をかけてみたら該当して感動。
でも「あとかくしの雪」とお話がごっちゃになってました。

藁一本も盗まずに返す、困っている人には手を差し伸べる
私自身ちゃんと実行できているわけではありませんが、
今も大切にしていることのひとつです。
日本昔ばなしが自分を作ったといっても過言じゃないですねえ。

素晴らしいデータベースありがとうございます!
これからじっくり拝見させていただきます!たのしみ!!
くうちゃん  投稿日時 2013/3/12 23:52
今日、東海ラジオの「民話のこばこ」という番組でも、下呂市に伝わるこのお話が取り上げられていました。
夫婦ともに健在で幸せに暮らすなどあらすじが若干異なっておりましたが、誠実な気持ちが伝わってくるいいお話だなと思いました。
なおさん  投稿日時 2012/9/10 9:18
見た事がないお話でした。

このお話だけではなくお坊様の言葉をありがたく思います。
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