No.0915
しゃくじま
杓島
高ヒット
放送回:0576-B  放送日:1986年11月29日(昭和61年11月29日)
演出:なべしまよしつぐ  文芸:沖島勲  美術:なべしまよしつぐ  作画:なべしまよしつぐ
岡山県 ) 29548hit
瀬戸内の海に伝わる源平の船幽霊伝説

今から約800年ほど昔。寿永二年(1183年)の源平水島合戦は数多くの戦死者を出し、瀬戸内の水島灘には幾百幾千もの鎧武者達の骸が沈んでいった。

それから数百年が過ぎ、一隻の千石船が静かな晩秋の夜に水島灘を通りかかった。その船が上水島と下水島の間の名も無い島がいくつか浮かぶ場所にさしかかった時の事、突然船の舵が利かなくなり海の底から「杓を貸せ…杓を貸せぃ…」といううめき声が聞こえてきた。

若い舵取りと年老いた船子が船板に耳を付けてみたが、うめき声は確かに船底から響いてくる。何事かと甲板へ上がってきた他の船子達も、気味の悪い声を目の当たりにすると全身の震えが止まらなくなった。そしてとうとう、声に痺れを切らした若い舵取りが杓を海に投げようとするので年老いた船子がそれを止めようとするが、揉み合いになった拍子に杓が海に落ちてしまう。

すると、海のあちこちから一本また一本と杓を持った白い腕が先を争うように伸び出てきて、みるみるうちに辺り一面が何百何千と杓を持った白い腕で埋まってしまった。そして沢山の白い腕は伸び縮みし始め、その度に杓で汲んだ海水が船になだれ込んだ。

とめどなくなだれ落ちる海水で船がゆっくりと沈み始めると、船子達は皆へたりこみ中には経文を唱える者もいた。しかし年老いた船子が底の抜けた杓を海に投げると、不思議な事に白い腕が次々と消えていく。底の抜けた杓では幽霊も水は汲めまいと、年老いた船子が考えての事であった。

源平の合戦で死んだ者達は未だに浮かばれず、真水を欲して船に声をかけていたのである。若い舵取りと年老いた船子はこれからここを通る時は供養に真水を一杯海へ注いでやろうと話し合った。そしてそれ以来、その海に浮かぶ島の一つを「杓島」と呼ぶようになったという。

(投稿者: お伽切草 投稿日時 2012-10-27 18:17 )


参考URL(1)
http://kurashikibunka.blog106.fc2.com/blog-date-20090127.html
ナレーション市原悦子
出典稲田浩二(未来社刊)より
出典詳細岡山の民話(日本の民話36),稲田浩二,未来社,1964年03月15日,原題「杓島」,採録地「児島市」
場所について水島灘
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このページを印刷
地図:水島灘
追加情報
このお話の評価9.2500 9.25 (投票数 4) ⇒投票する
※掲載情報は 2012/10/27 19:26 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話の移動 ( 33  件):   <前  1 ..  14  15  16  17  18  19  20  .. 33  次>  
コメント一覧
10件表示 (全12件)
ゲスト  投稿日時 2022/1/1 17:51
手が伸びまくる画像が花火っぽく見えたがちょっとこわいな
ゲスト  投稿日時 2020/1/15 23:28
これ、リアルタイムで見たなぁ。
当時小学一年生だったけど、鮮明に覚えている。
何故か見ていたのは私一人だけで、家族は一緒じゃなかった。

にゅーっと伸びてくる白い手がめちゃめちゃ怖かった。けど見ずにはいられず...結局最後までみた。
夜、寝るときになって思い出しちゃって、恐怖に震えたっけ...
関門の人  投稿日時 2019/11/19 0:20
源平合戦があった早鞆瀬戸にも同じ言い伝えがありますね。
ひのまる呉服店  投稿日時 2017/6/24 11:23
海の底に沈んで行く、平家の武者たちのイメージが哀しくも美しい。
まんが日本昔ばなしは、一品一品が芸術作品ですね。
beniko  投稿日時 2012/10/15 3:35 | 最終変更
この辺って事ですかね~?調整しました。
マルコ  投稿日時 2012/10/14 23:16
市原さんの語りで「上水島と下水島の間に名も無い島が三つ四つ浮かんでいるところ・・・。」と言っていたので、おそらくその周辺だと思います。ちょっと、地図の位置がずれている・・・惜しいなぁ!!
マニアック  投稿日時 2011/10/24 21:41
あッそうでしたね。
araya  投稿日時 2011/10/24 21:41
レスからのコピペでしたので、まぁイイかと思いましたが、ご指摘ありがとうございます。
ゲスト  投稿日時 2011/10/24 21:38
沖の島の海坊主⇒沖の海坊主、の事じゃないかな?
araya  投稿日時 2011/10/24 21:32
同感ですね(^_^)。

船と柄杓にまつわる話は多く、「杓島」「沖の島の海坊主」のほかに「佐吉舟」「船幽霊」もありますね。
投稿ツリー
10件表示 (全12件)
現地関連情報
出典本調査 facebook
Twitter

オンライン状況

59 人のユーザが現在オンラインです。 (15 人のユーザが お話データベース を参照しています。)

新着コメント(コメント24件)