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No.0890
かわをながれたつきみそう
川を流れた月見草

放送回:0560-A  放送日:1986年08月09日(昭和61年08月09日)
演出:三善和彦  文芸:沖島勲  美術:安藤ひろみ  作画:三善和彦
写真あり / 岡山県 ) 17062hit
殿様を取り巻くイエスマンたちの愚行

昔々のある夏のこと、来る日も来る日も暑い日が続き、とうとう我慢ができなくなった津山の殿様は、吉井川の川原へお忍びで夕涼みに出かけた。そこに一面に咲いていた月見草を一目で気に入った殿様は、全て一夜で城に移し変えるよう家臣に命じた。

順繰りに上から下ってきたこの命を受けた平平左衛門(たいらひらざえもん)は、やむなく百姓町人をかり集め、一晩中かかって川原の全ての月見草を城内に移したが、その後には無惨に荒れ果てた川原が残った。

翌朝上機嫌で目覚めた殿様が庭を見ると、夜にしか花を咲かせない月見草は赤茶けてしぼんで見えた。腹を立てた殿様は花を捨てるように命じ、この命令もまた順送りに平左衛門のところにきて、平左衛門はせっかく運んだ月見草を川に投げ捨てるしかなかった。

幾日かが過ぎて相変わらず蒸し暑い日が続き、再び殿様を夕涼みに連れていくこととなったが、荒れ果てた川原につれて行く訳にもいかず、今度は平左衛門に適当な場所捜しが命じられた。平左衛門は足を棒にして捜し回った。しかし日暮れ時になってもそんな場所は見付からず、何時しか平左衛門は吉井川を遥かに下った八出(やいで)の方まで来てしまっていた。

そこで平左衛門が見たのは、なんと一面に川原を埋め尽くして咲き乱れる月見草だった。それは先日川に捨てられたものが流れ着き、根を下ろしたものだったのである。平左衛門は月見草に抱かれるように身を横たえ、一時心安らぐ思いに浸るのだった。それ以来、元の川原には一本の月見草も咲かなかったという…。

(引用:狢工房サイト)


参考URL(1)
http://mujina.agz.jp/tsukimi.html
ナレーション常田富士男
出典稲田浩二(未来社刊)より
出典詳細岡山の民話(日本の民話36),稲田浩二,未来社,1964年03月15日,原題「川を流れた月見草」,採録地「津山市」,話者「下山省三」
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場所について津山城近くの吉井川
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地図:津山城近くの吉井川
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※掲載情報は 2011/2/11 22:30 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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日清皿太夫  投稿日時 2021/11/13 2:55
 ×十年前津山に、吉井川も城跡も八出も見知った場所に住んでいました。移動手段豊富な現代では城から八出の河原まで遠さは感じず、月見草も意識しなかった。これじゃ劇中の殿様とちっとも変わらない。懐かしく恥ずかしく、惜しんでいます。
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