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No.0856
ふながたやまのごんげんさま
船形山の権現さま

放送回:0538-A  放送日:1986年03月08日(昭和61年03月08日)
演出:山田みちしろ  文芸:沖島勲  美術:亀谷三良  作画:荒川真嗣
宮城県 ) 12232hit
かわいい権現さまを追いかけ回しちゃってゴメンなさい

船形山の中腹に建っている船形権現さまの社には、女の神様が祀られており、豊作の神様として有名であった。そのため麓の村々はもとより、遠く名取の方からお参りに来る人もいて、参拝客は絶えなかった。

さて、この姫神さま、陽気で賑やかなことが大好きなので、冬になり参拝客が途絶えてしまうのを寂しく思われていた。そこで秋も深まったある日、雪が降る前に里に遊びに行くことにした。

権現さまは、目立たないようにボロを纏い(まとい)、顔に泥を塗って山を降りて行った。上富谷村(かみとみやむら)まで来ると、村人たちが土の中の虫を殺すために田おこしをしていた。ところでこの村には、怠け者の「くま」という男がおり、みんなが働いてるというのに、1人だけボケッとしていた。

くまが権現さまを見ると、その袖(そで)やすそからは、泥を塗っていない真っ白い肌がチラッと見えた。くまは不思議な女子(おなご)だと思い、その後をついていった。権現さまは、くまが追いかけて来るので、びっくりして走り出した。ところが田おこしをして、でこぼこになった田に足を取られて何度も転び、膝を擦りむいてしまった。

権現さまが桧和田(ひわだ)の村まで逃げてくると、そこではちょうど田んぼのあぜに泥を塗る畔ぬり(くろぬり)の最中だった。権現さまはそのあぜの上を走ったものだから、泥で滑ってしまい、田んぼの中に落ちて泥だらけになってしまった。

泥だらけになった権現さま、今度は落合の村までやって来た。するとそこでは、実を取り終わったゴマがらを片付けていた。ところが、この村にも「せど」という怠け者の男がおり、ろくに働かずにボーッとしていた。

権現さまが歩いていると、顔からは泥が剥がれ落ち、雪のような真っ白いお顔が現れた。これを見たせどは、何ともめんこい女子だと思い、権現さまの後をついて行った。権現さまはまた駆け出すも、今度は道に広げてあったゴマがらにつまづいて、鼻の頭を擦りむいてしまった。更にこれに上富谷から追いかけてきたくまも加わり、権現さまは2人から追いかけられるはめになってしまった。

怠け者のせどとくまが走っているのを見た村の衆は何事かと思い、我も我もとその後をついて行く。こうして、とうとう村の衆全員が権現さまの後を追いかけることになった。賑やかなことの好きな権現さまは、こうなってしまうと逆に楽しくなってしまい、風のように村の中を駆け回る。そして楽しそうに笑いながら、船形山に飛んで帰って行った。

その後、この女子が権現さまだと気づいた村の衆は、権現さまに失礼なことをしてしまったと思い、皆で山の社にお詫びに行った。そしてそれ以降、上富谷では田おこしを秋に行わずに冬にして、桧和田では畔ぬりを春先に行い、また落合ではゴマを植えないことにした。この風習は今でも続いているそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-12-3 9:07)


ナレーション常田富士男
出典山田和郎「宮城県の民話」(偕成社刊)より
出典詳細宮城県の民話(ふるさとの民話40),日本児童文学者協会,偕成社,1982年11月,原題「船形山の権現さま」,採録地「黒川郡大和町」,再話「山田和郎」
場所について船形山
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地図:船形山
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※掲載情報は 2011/12/3 9:07 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2016/5/5 11:30
数年前に他界した母は大和町出身でした。
色白で丸顔、にぎやかなことが大好きだったところが
この権現さまと重なってしまいます。

サイト管理者さまへ
日本人ならけして失ってはいけない心優しさや思いや
り、表には出さずとも生きる為の努力を惜しまない姿
、というものはこの先ずっと語り継いでいくべきもの
と思います。 更なるご発展をお祈りいたします。


船形  投稿日時 2012/7/7 9:12
たびたび恐縮です。
観光や紀行のサイトで以前いくつか写真を見かけています。

たとえば以下のサイトです。
http://park14.wakwak.com/~kayowai/35funagata.htm

船形は宮城県の加美郡出身の父より生まれています。
ゲスト  投稿日時 2012/7/7 9:03
船形です。船形山にはほこら神社があるようです。ネットで写真検索しますと出てきます。
プライベートな事で写真を引き継ぐことができません。船形は女系で、継母が入りすでに相当少ない家系になりました。

プライベートはいろいろありますので、残念ながら公開できません。
beniko  投稿日時 2012/7/3 21:40 | 最終変更
紅子のフェイスブックのメルアドに送ってください。

容量は2MB以内でないと受け取れないようですので、小さく縮小などした写真を添付してください。複数枚ある場合は、1枚ずつ添付して数回に分けて送信すれば、よいかもしれません。 よろしくお願いいたします。
のりくん  投稿日時 2012/7/3 21:28
このお話ではありませんが、長野県関連のお話の舞台に行って撮って来た写真はいくつかあります。送りたいのですが、送り方がわかりません。差し支えなければやり方を教えてください。
beniko  投稿日時 2012/7/3 16:48
良かったら祠の写真など送って下さい。
船形  投稿日時 2012/7/2 22:42
船形本人ですが、ほこらの小さな物は残っています。
船形の家系では神主の家系なんです。父は公務員でした。
私はいけないことをするといつも罰が当たっていました。

子供の頃小野田というところの叔父が神主でした。普通に神主です。

宮城の田舎では船形の家系は親族だけです。

私には時々オカルト的なことも発生しています。また、そのようなことがとても辛いです。
beniko  投稿日時 2012/5/13 17:48
こんにちは、船形出身なんですね。アニメでは語られておりませんが、このお話に関する神社(もしくは所縁のある建物や祠や石碑など)が実在するという事でしょうか?
私の勝手な想像ですが、山の中腹あたりにひっそりとある小さな祠が今でも実在している、と思っておりますが実際のところはどうなんでしょうね。何か関連情報などご存知でしたら、また教えてください。
パンチョ  投稿日時 2012/5/13 13:35
いきなり男達に追いかけまわされたら、権現さまでなくともびっくりする。権現様、怖い思いをしただろうに・・・と、思ったら、最後はこの状況を楽しんじゃてる。
茶目っ気のある女神様なんだな。罰があたってもおかしくないだろうに、権現様は優しい女神様なんだなあ。
船形武志  投稿日時 2012/5/13 12:06
まじめに書いています。はじめまして。私の家系は船形です。父の家系は神主が多く出ていますが、他の親戚も限られています。父の出身地は宮城県加美郡です。
なんだか人事に思えない昔話で、情報を探していました。ありがたく拝読させていただきました。
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