昔ある所に母蛙と、すて吉という子蛙がおりました。すて吉は母親の言うことを聞かず、何でも逆のことをするずれっこでした。
すて吉は大人になっても相変わらずで、年老いた母親が野良仕事をしていても、手伝いも何もせず一日中遊んで暮らしていました。
そんなある日、母親にも寿命が来てしまい、亡くなる直前にすて吉に「墓を建てるなら山より川の側がいい」と頼みます。
でも本当は、川は雨が降ると水が溢れ流されてしまうので、山の方がいいと思っていたのですが、すて吉は昔から何でも逆のことをするので、そう言えば山にお墓を建てるに違いないと思いわざとそう頼んだのです。
しかし母親を亡くしたすて吉は悲しみ、今までの自分の行いを悔やみ、心を入れ替え、「最後の望みは聞いてやらねば」と言われた通りに川の側にお墓を建てました。
そしてある雨の日、やはり川は溢れ母親の墓は押し流されんばかりでした。すて吉は川へ飛び込み、泣きながらお墓にすがりつき、必死に守りました。
それからというもの、雨のたびにすて吉はそうして母親の墓を守り続けたのです。
雨の日に蛙が鳴くようになったのはここからだということです。
(投稿者:Sachi 投稿日時 2014/2/26 1:31)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 江馬三枝子(未来社刊)より |
出典詳細 | 飛騨の民話(日本の民話15),江馬三枝子,未来社,1958年12月20日,原題「ずれっ子の子蛙」 |
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