あるところに一人の若者がいました。
彼の仕事は「日雇い」でした。とても力持ちで人の何倍も仕事をするが食事の量も人の何倍も食べるので「これはたまらん」と何処へ行ってもすぐに追い出されてしまいました。仕方なく故郷の村を出て旅を続けると一軒の家があり、若者は雇ってもらえないだろうかと頼んでみました。仕事は水車小屋で「穀物を臼でつく」ことでした。
彼にとっては簡単なことでしたが「何で水車使わねえだ?大きくて立派な石臼もあるのに。」おじいさんは若者を外に連れ出し「水車小屋の裏山に大きな岩が転がってきて、流れる水を堰き止めてしまったんじゃ。だから水車が回せないんじゃよ。」と残念そうに言いました。
そしてこの小屋には夜になると化け物が出るので正体を見届けて欲しいとも頼まれました。若者が寝ていると大入道が現れたので若者は怪力で投げ飛ばしました。正体は石臼でした。どうしてもあの大岩をどかしてほしい。おらは石臼として働きたいと泣いて訴えました。
若者は大入道と協力して大岩を動かし、見事水車を復活させました。翌朝、話を聞いたおじいさんは「石臼には可哀想なことをしたが、水車が動いて良かった。」と喜びました。こうして若者は水車小屋でずっと働き続けたと言うことです。
(投稿者: ゲスト 投稿日時 2012-2-2 0:31 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 須藤克三「山形県の民話」(偕成社刊)より |
出典詳細 | 山形県の民話(ふるさとの民話4),日本児童文学者協会,偕成社,1978年8月,原題「力もちと大入道」,再話「須藤克三」 |
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