No.0826
だいこんむかし
大根むかし

放送回:0520-A  放送日:1985年11月02日(昭和60年11月02日)
演出:しもゆきこ  文芸:久貴千賀子  美術:しもゆきこ  作画:堀田篤子
山形県 ) 18563hit
あらすじ

昔々、ある村でのこと。その村は土地が農地に適さなかったため、人々は農作物を育てるのにとても苦労していた。

ある年の事。その年も農作物の出来は悪かったが、一つだけ元気に育っている大根があった。人々はこの大根に希望をつなぎ、肥やしや水をたっぷり与え、大切に育てた。大根は、人々の思いに応えるかのようにグングン成長し、やがて山ほどもある巨大な大根となった。

大喜びした村人たちは、みんなで力を合わせて大根を引っこ抜き、これを食べようとしたところ、大根が泣き出した。大根は「食われたくねぇ」と懇願する。村人は、人の言葉を話すこの大根を食べるのに忍びなく、そのまま村において育ててあげることにした。

すると、この村では大雨や大雪などの害を受けなくなった。それはあの大根が、村の前にでんと立って、壁代わりになっていてくれたからだった。村人達は大根に感謝し、大根と人間達は良好な関係を保っていた。

しかし、月日が経つにつれ、村人達は大根の存在がだんだん邪魔になってきた。というのも、大根は水や肥やしが切れると大声で泣くからだ。食べることも出来ない大根に、大量の水や肥やしをあげるのが面倒になってきた村人達は、ある日、大根の前に集まった。そして大根に言った。「出て行ってくれんかの」と。

大根は大変悲しみ、誰かが引き止めてくれる事を願ったが、引き止める者は誰もいなかった。泣く泣く、大根は村を去っていった。

しかし、それからというもの、村はまた以前のように大雨や大雪の害を受けるようになった。村の盾になってくれていた大根が、いなくなってしまったからである。村人達はようやくその事に気付き、大根に帰って来てもらおうと、必死になって探したものの、後の祭りだった。どこを探しても、もうあの大根は見つからなかったという。

(投稿者: パンチョ 投稿日時 2012-8-26 1:10 )


ナレーション常田富士男
出典武田正(講談社刊)より
出典詳細東北に残った大坂の昔,武田正,講談社,1976年04月24日,原題「大根むかし」、話者「佐藤孝一」
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※掲載情報は 2012/8/26 3:26 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
1件表示 (全1件)
ゲスト  投稿日時 2015/11/11 16:47
大根さん可愛いです。みんなで引き止めていれば、、、。悔やまれますね。
ロシアの大きな赤カブのおはなしを思い出しました。
切り絵が素敵な作品です。
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