昔ある所に、海の暮らしに飽きた一匹のカメがいました。
このカメは、浜辺で酒を飲んで文句ばかり言っては、小魚たちからカツアゲしたり、酒屋の亭主に乱暴したり、毎日やりたい放題に過ごしていました。
ある日、いつものように酒を飲んで浜辺で寝ていると、まっ黒な黒雲が広がり一匹の美しいメスの龍が現れました。龍は神様からの使いで、一通り雨を降らせて去っていきました。
この様子を見ていたカメは「自分も天に昇って神様になりたい」と思い、龍を呼び寄せるため毎晩たき火を焚き続けました。
そんなある日の事、とうとうあの時の龍がやってきて「あんたのしつこいのには負けた、天に連れて行ってあげよう」と言いました。カメは大喜びして、メスの龍の尻尾にしっかりとつかまりました。
龍はカメを連れて、天へ向かって登っていきました。カメは振り落とされないように、しっかりと口で尻尾をくわえていましたが、やがて天上が見えてくるとすっかり嬉しくなってきました。
カメはつい「早く天に行きたいのぉ」と、くわえていた口を開けてしまい、高い空から浜辺に向かって一直線に落ちていきました。地上に落ちたカメは、天へ上ることをすっかり諦めて海へ帰っていきました。
(紅子 2013-12-4 23:21)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 島根県 |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第099巻(発刊日:1988年4月) |
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