No.0739
ふなにょうぼう
鮒女房
高ヒット
放送回:0464-B  放送日:1984年10月06日(昭和59年10月06日)
演出:前田康成  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:前田康成
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あらすじ

昔、琵琶湖のほとりの堅田(かたた)に源五郎という名の男がいた。

ある日、源五郎が湖のほとりを歩いていると、岸辺にひどい怪我をしたフナを見つけた。源五郎は漁師だったが、このフナを取らず傷口に油薬を塗って逃がしてやった。

さて、次の日も源五郎がブラブラしていると、昨日フナを助けた辺りに見慣れない若い女が背中から血を流して倒れていた。源五郎は慌ててこの娘を家に背負って帰り、介抱してあげた。

やがて娘の傷も癒え元気を取り戻すと、娘は自分を嫁にしてほしいと源五郎に言った。独り者の源五郎、きれいな嫁さんがもらえて嫌と言うはずがない。ただ、娘は自分が湯浴みをしているところを決して見ないよう源五郎に約束させた。

それからの源五郎は、見違えるようによく働くようになり、また二人は傍目もうらやむほど仲良く暮らした。こうして瞬く間に数年の歳月が過ぎていった。

そんなある日、今日は珍しく朝から大漁で、源五郎はいつもより早く家に帰った。すると嫁の姿が見当たらない。嫁は裏で湯浴みをしていたのだ。これまで約束を守って一度も嫁の湯浴みを見たことがなかった源五郎だったが、この時は魔が差したのだろうか。もう何年も一緒に暮らしているので大丈夫だろうと思い、そっと湯船を覗いて見た。するとそこに嫁の姿はなく、何と大きなフナがゆっくりと泳いでいたのだ。

正体を見られてしまった嫁は、源五郎に別れを告げると琵琶湖に姿を消してしまう。「まってくれー!!ワシが悪かった!!」源五郎は慌てて嫁の後を追い、琵琶湖に舟を出した。すると沖合に出たころ、源五郎は嫁だったフナの姿を水中に見た。源五郎はその瞬間、何もかも忘れて水の中に飛び込んだ。そして嫁を追って泳いでいると、いつの間にか源五郎自身もフナになっていたということだ。

琵琶湖に住むフナのなかで、その体が少し大きいゲンゴロウブナにはこんな謂れがあるそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-5-15 9:27)


ナレーション市原悦子
出典近江の伝説(角川書店刊)より
出典詳細近江の伝説(日本の伝説19),中川正文,角川書店,1977年6年10日,原題「鮒女房」源五郎鮒
場所について滋賀県大津市堅田(地図は適当)
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地図:滋賀県大津市堅田(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/5/15 9:28 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
Perenna  投稿日時 2020/10/13 0:15
未来社の「近江の民話」に「鮒になった源五郎」という昔話が載っています。
「むかし、むかしのことやが、びわ湖のほとりに、源五郎という怠け者が住んでおった。ある日のことや。源五郎は、近くの桑畑で、不思議な太鼓を拾うた。その太鼓の片方を、デンデンとたたくと鼻が高うなり、また、反対がわを、トントンとたたくと、鼻が低うなる。」という書き出しで始まっています。
この太鼓は天狗の持ち物ではなく、雷さまの落としたものだったそうです。
源五郎が自分の鼻がどこまで高くなるか試してみたとき、天の川の橋に鼻の先を打ちつけられてしまいます。
驚いた源五郎が鼻を低くするために、太鼓をトントン、トントン叩いたところ、自分のからだが地面から浮き上がってしまいました。
空中で「うわーッ、助けてくれッ」と大声で叫んだところ、厚い雲の中から雷さまが出てきて、家来になるのを条件に助けてもらいます。
源五郎は雷さまの手伝いをしていましたが、生来の怠け者だったので雷さまを怒らせてしまい、蹴られたはずみで下界にまっさかさまに落ちていきました。
こうして琵琶湖に墜落した源五郎は水の中で、ついに鮒になってしまったというオチです。
琵琶湖のゲンゴロウブナの伝説には、いくつかのバリエーションがあるみたいですね。
豪  投稿日時 2016/5/15 10:56
こういう話って最後は別れたまま二度と会えないモンだけど、
この場合は人間を捨てたとは言え、愛する妻と同じ所に居られたんだよな。

…ある意味幸せなんかね、これって?
TOSHI  投稿日時 2016/1/10 0:34
フナ版の鶴の恩返しかなと思ったけど最後のオチは読めなかった・・・
マニアック  投稿日時 2011/11/11 23:33
番組には、なかったと思いますが、「天狗の羽うちわ」に似た「てんぐのたいこ」という話があり、主人公は同じくゲンゴロウという名前、最後に自分の鼻を太鼓を打ちながら伸ばし、天へ昇るが、結局空から湖の方へ落ちてしまい、ゲンゴロウ鮒になった。というオチの似ている話が、あります。
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