昔、ある村のお寺の本堂には、あずきとぎのお化けがいるとの噂だった。そしてその村には、ちと頭が足りない兵六(ひょうろく)という若い男がいた。
お化けや幽霊を全く怖がらない兵六は、村の若者と一緒にお寺へ肝試しに行く事になった。他の若者は途中で怖がって逃げ出したが、兵六だけは寺の本堂まであがり込んでいった。本堂には、とても恐ろしいあずきとぎ幽霊の声がする。「ショキショキショキ、小豆とぎましょうか?それとも人間を取って食いましょうか?」
全く怖がらない兵六に、お手上げ状態のあずきとぎ幽霊は、牛ほどもある大きなぼた餅を投げつけた。それを見た兵六は大喜びで、巨大なぼた餅をたいらげた。それからの兵六は、夜になると寺の本堂に行って美味しいぼた餅をたらふく食べるようになった。しかし、毎晩少しずつぼた餅のサイズも小さくなっていった。
ある日、ぼた餅の話を村の人に話したところ、本当の話かどうか村の若い連中も一緒に本堂に行く事になった。しかし、その日に限って小さなぼた餅すら落ちてこなかった。怒ってどなる兵六の前に、巨大なナスの漬物が落ちてきた。「毎度毎度、ぼた餅は無いわい。たまにはナスの漬物でも食え。これが本当のモテナスじゃ」
紅子(2011-8-21 2:33)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第3集(DVD第11巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第17巻-第082話(発刊日:1977年7月20日)/講談社テレビ名作えほん第035巻(発刊日:1981年1月)/二見書房[怪談シリーズ]第3巻_妖怪がでるぞ~(発刊日:1994年7月25日) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「中部地方の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
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