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No.0707
せんにんのおしえ
仙人のおしえ
高ヒット
放送回:0444-A  放送日:1984年05月19日(昭和59年05月19日)
演出:岩崎治彦  文芸:沖島勲  美術:小関俊之  作画:岩崎治彦
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あらすじ

昔々、ある所に目の見えないおっかさんを持つ吾一(ごいち)という孝行息子がいた。吾一は毎日、おっかさんの目が治るように神様にお祈りしていた。

ある晩、そんな吾一の夢枕に神様が現れ、おっかさんの目を治すには、山の仙人の所へ行って頼んでみるとよいとお告げを下した。

翌朝、吾一は早速、山の仙人のもとを目指して家を出て行った。ところが吾一が歩いていくと、長者屋敷と百姓屋で呼び止められる。吾一が仙人の所に行くと話すと、長者さんからは「ここ3年も病で寝込んでいる娘の病気を治すにはどうしたらいいか?」
また、お百姓さんからは「家の裏に3本あるみかんの木が実をつけない。どうしたらいいか?」それぞれ仙人に聞いてもらうよう吾一に頼んだ。吾一はこれを快く引き受けた。

吾一はさらに急な山道を登って行く。ところが吾一の前に、到底登れそうにない断崖絶壁が現れた。すると、崖の穴から一匹の大蛇が出てきて「おまえ、どこへ行く?」と吾一に尋ねた。吾一が震えながらも理由を話すと、「ワシは海に千年、山に千年、川で千年修行をしたが、いまだに天に昇れない。どないしたらよいか仙人に聞いてくれんかの?」そう言うと大蛇は、吾一を頭の上に乗せ崖の上に運んでくれた。

そして吾一は、とうとう山のてっぺんの仙人の家に着いた。吾一は仙人の家に上がると、早速尋ねたいことがあると言う。すると、仙人は今日は3つしか聞くことが出来ないと言う。しかし、困ったことに吾一の聞きたいことは4つある。(おっかさんの目のこと、長者の娘の病、みかんの木のこと、大蛇が天に昇ること)

吾一は悩んだが、自分のおっかさんのことはまた今度聞けばよいと思い、他人の願いを優先させた。

吾一は仙人に礼を述べ、仙人の家を後にした。そして崖で待っていた大蛇に、淵の中の金の玉を取れば天に昇れると仙人の言葉を伝えた。すると、大蛇は口から金の玉を出した。金の玉は黒雲を呼び、大蛇は黒雲に包まれると、龍に姿を変え天に昇っていった。そして、金の玉をお礼として吾一に残していった。

百姓屋まで戻って来た吾一は、みかんの木に実がならないのは根元に金気(かなけ)の物が埋っているためと伝えた。試しに根元を掘ってみると、何と小判が入ったつぼが3つ出てきた。家の主人はたいそう喜び、吾一はお礼に小判のつぼを1つもらった。

そして長者には、娘の病気は、娘が始めて見た若者を婿にすれば治ると伝えた。その時ふすまが開き、吾一は病に伏せている長者の娘を見た。吾一は美しい娘を見てびっくりして、飲んでいた茶をこぼしてしまった。これを見た娘が笑ったので、長者はたいそう喜んだ。なにしろこの3年間、娘が笑ったことはなかったからだ。そして長者は吾一を娘の婿と決めた。

家に帰った吾一は、事の一部始終をおっかさんに話し、目の見えないおっかさんに金の玉を触らせて上げた。すると何としたことか、おっかさんの目がいつの間にか見えるようになっていたのだ。それから吾一は長者の娘と夫婦になり、おっかさんと3人で幸せに暮らしたと言うことだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-9-10 9:03 )


ナレーション市原悦子
出典扶川茂(偕成社刊)より
出典詳細徳島県の民話(ふるさとの民話32),日本児童文学者協会,偕成社,1982年5月,原題「仙人のおしえ」,採録地「東祖谷山村」,再話「安福昌子」
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※掲載情報は 2011/9/10 19:25 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ラッキーシニアBoyいさお  投稿日時 2019/5/31 6:49
人間は何かに悩み困っているものだ。 問題を如何に解決して心のストレスを減少出来るかが鍵だが中々見つからない 先ず相談できる友人を持つことの大切さを教えたい。話せば解決できることもあるし鬱憤を伝えるだけでストレスが無くなることもある。また親身に聞いてあげることも大切だと分かりました。
自分の親の病気を治したい、本当に心優しい人間だ!幸せになって欲しい願望は感謝の気持ちの表れと思う。主目的のその母の病気を治したいのにそれを聞かないで他人の願い事を優先するなんて何て素晴らしい事か! 施しの精神が大切な事を教えられた。 依って自分に素晴らしいチャンスが来て幸運にも掴める事が分かった。慈愛の精神が素晴らしい。 こんな世の中になって欲しいものだと痛感した。
ゲスト  投稿日時 2013/6/26 12:34
そんなうまい話があるもんか
マニアック  投稿日時 2011/10/24 20:45
初放送以来、一度も再放送なしの作品。朝の再放送でも、欠番扱い。しかし後半の「二十原の椿」は、再放送されていた。何故だろう?
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