昔、ある山に狐と熊が住んでいた。ある日狐が熊のところへやってきて、一緒に畑を作ろうと誘う。狐が言うには、「熊さんは山で一番の力持ちだ。だから畑はおまえさんが作る。そのかわり、わたしゃ種を探してきます。で、できたものは半分ずつ。」という具合で、熊は一生懸命畑を耕し、狐は里から種を盗んできて、この畑に植えた。
やがて、種から大根が育ってきた。おいしそうに見つめる熊に、狐はこういった。「後でもめないように、お互いの取り分を決めましょう。熊さんは土から上を、あっしは土から下のものでいいですよ。」やがて大根は大きくなり、いよいよ収穫となった。
熊は約束通り、土から上の大根の葉をとって、喜んで食べていたが、一日もたつと葉はみんなしおれて食べられなくなった。一方狐は、土から下の大根を料理して美味しそうに食べているのだった。これに怒った熊は、今度は狐が土から上のものにしようと、また一緒に畑を作り始めた。
そうしてできたのは、苺だった。狐は先に土から上のものを収穫したと言うので、熊が畑へ行って掘ってみると、出てきたのは根っこばかりだった。「よくもだましたな!」と、さすがの熊も怒って帰ってしまった。
数日後、また狐が熊のところへやってきて、先日の罪滅ぼしだと、熊にはちみつがたっぷりある蜂の巣の場所を教えた。はちみつに目がない熊は、早速蜂の巣へ向かった。ところがこれがくまん蜂の巣だったため、熊は体中を刺された。その隙に、狐はちゃっかりと蜜だけの蜂の巣を貰っていった。
その夜、熊は痛さのあまり寝られずに叫んでいた。心配して訪ねてきたみみずくに訳を話すと、みみずくは熊に良い知恵を教えた。
数日後、また狐が熊のところへ行ってみると、熊は狐の大好物である、馬の肉を食べていた。目がくらんだ狐は、熊にこの肉をどうやって手に入れたかを聞いた。熊が言うには、「旨そうな馬に目をつけて、後ろ足にかみつく。馬っていうのは後ろ足が急所だから、そこをかまれると死んでしまう。死んだところで、わしがおまえの家まで運んであげよう。」
そうして二人が原っぱにいってみると、たくさんの馬が草を食べていた。馬の肉が食べたい一心で、狐はとびきり大きい馬の後ろ足にかみついた。驚いた馬は、狐をおもいっきり蹴飛ばした。狐はどこかへ飛んで行ってしまったそうだ。
(投稿者: 十畳 投稿日時 2011-8-11 6:58 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
VHS情報 | VHS-BOX第4集(VHS第37巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第10巻-第047話(発刊日:1976年12月10日)/講談社テレビ名作えほん第012巻(発刊日:1977年10月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「中国地方の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
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