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No.0610
おにのたまご
おにのたまご

放送回:0382-A  放送日:1983年03月05日(昭和58年03月05日)
演出:若林常夫  文芸:沖島勲  美術:阿部幸次  作画:若林常夫
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あらすじ

昔、ある村に太郎べえと次郎べえという男がいた。

ある日のこと、二人は都見物を思い立ち、二人そろって京の都に向けて旅に出た。初めて見る京の街は、何を見ても珍しく、楽しく、二人は夢中で色々な所を見物した。そして、見物も終わりに差し掛かったころ、大きな寺の境内に人だかりが出来ているのを二人は見つけた。

門の外から境内をのぞくと、お坊さんが何やら白くて丸い物を人々に配っている。どうやら人々は、これを目当てに集まっているようだ。この坊さまが配っている物は、当時まだ都でも珍しい、唐渡りの饅頭(まんじゅう)という物であった。

二人が境内をのぞいていると、坊さまがやって来て、二人にも饅頭を一つずつ分けてくれた。ところが二人は、これが何であるか知る由もない。太郎べえは言う。「何かの卵だべか?」すると次郎べえは答える。「オラわかっただ!これはきっと極楽にいる天女の卵だべ!」饅頭を天女の卵だと思った二人は、温めれば中から天女が生まれると思い、さっそく饅頭を懐に入れて温めた。

こうして二人は期待に胸を膨らませながら帰路に着いた。ところが次の日、懐の“卵”から変な臭いがする。二人が取り出してみると、何と天女の卵の表面には青い斑点が現れ、何やら毛のようなものも生えている。こんなに臭くて、毛が生えた物が天女の卵であるはずがない。「これは、青鬼の卵じゃ!この青いボツボツがその証拠じゃ!」

鬼に食われては大変と、二人は卵を踏み潰してしまった。やれやれ、もう少しで卵から鬼が生まれるところだった。でも、これもいい土産話になる。二人は災難を避けたことを喜び合いながら、鬼の卵の話を土産に国に帰っていったそうじゃ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-9-30 11:55)


ナレーション常田富士男
出典岸なみ(偕成社刊)より
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※掲載情報は 2012/9/30 11:55 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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Perenna  投稿日時 2019/1/24 23:50
この昔話と似たような話は、大正4年に出版された「滑稽笑話旅鞄」という本に「天人の卵」という題で収録されています。(コマ番号43/120)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/954184/43

「夏の日に饅頭の出来立てを買つて町中を通る子があつた。折しも黒雲が俄に蔽ひかゝつて、ぴかりと光る雷光と共に鳴り出す雷の音に、子供は驚いて駆け出す途端一つの饅頭を落して往つて、其後へ通り懸つた田舎者が二人、まだ饅頭を知らねば手に取つて見て、「これは不思議なもの、天人の卵でもあらうか、肌理がすべすべして居る、産み立てと見へてまだ暖かい、拾つて置けば天人の雛子になるであろう」と話し合つて、大事に家へ持ち帰り、日数を経るうち、暑中のことゝて周囲が青黒く黴び、白い毛が生へ、見るから恐ろしさうなものになつた、そこで二人は又考へて、「これは天人の卵ではない、夕立の来さうな空であつたから、雷神の卵かも知れない、さうとすれば今の内に叩き潰すが宜からう」と棒で叩き破ると、中から小豆の餡が飛び出した、「やア黒血の塊がこんなにある。」

この昔話の原題は「おにのたまご」ではなくて「天人の卵」らしいです。
ある人気女性声優のラジオ番組で、似たようなタイトルの「天使の卵」というのもありますが。(笑)
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