昔、伊予国(いよのくに)の道後(どうご)の村はずれに、お地蔵さまがぽつんと立っていた。
そのすぐ近くに、貧乏だったが大変心やさしい百姓夫婦が住んでいた。
ある日、夫婦は赤ん坊を連れて畑仕事に出かけた。寝ている赤ん坊を畑近くの木の下に寝かせ、その間に百姓夫婦は一生懸命働いた。
しばらくして赤ん坊は目を覚ましたが、畑仕事に夢中になっていた夫婦は気が付かなかった。赤ん坊は、チョウチョを追って這い出し転がったり這いまわっている間に、バランスを崩して小さな川にすべり落ちてしまった。
とその時、どこかの子供が風を切って猛ダッシュで赤ん坊のところへ駆け付けた。溺れかけていた坊を川の中から救い出し、坊の濡れた服の代わりに自分が来ていた赤い腹掛けを着させてあげた。
その頃、百姓夫婦は自分達の赤ん坊がいなくなっていた事に気が付いた。二人は辺りを探したが、坊は見つからない。途方に暮れた百姓夫婦が家に帰ると、あのお地蔵さまが赤ん坊を背負ったまま立っているのを見つけた。
夫婦は坊の無事を喜び、赤ん坊を一日中世話してくれたお地蔵さまに感謝して、夫婦は何度もお礼を言った。その後村人たちは、この子ども好きなお地蔵様の事を「子好き地蔵様」と呼ぶようになった。
(紅子 2011-8-15 3:39)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 愛媛県 |
DVD情報 | DVD-BOX第3集(DVD第11巻) |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第060巻(発刊日:1986年9月) |
講談社の300より | 書籍によると「愛媛県のお話」 |
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