No.0588
たしろがわのおに
田代川の鬼

放送回:0369-A  放送日:1982年11月27日(昭和57年11月27日)
演出:こはなわためお  文芸:沖島勲  美術:青木稔  作画:塚田洋子
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あらすじ

昔、三河国の田代川を挟んで、三栗ノ谷(みぐりのたに)と川下ノ谷(かわしものたに)に、鬼の一家が住んでいた。

三栗の鬼と川下の鬼の一家は大変仲が悪く、いつも大きな岩を投げ合う喧嘩ばかりしていた。ところがある日、三栗の鬼の一人娘が川下の鬼の一人息子を好きになり、そのうち娘の腹が大きくなった。両家の鬼は、仕方なく結婚を認めてやり、やがて子供が生まれた。

しばらくして、大変な干ばつが起こり、田畑の作物は枯れ食べるものがなくなり、孫が病気になった。かわいい孫をどうにか助けてやろうと、三栗の鬼は祈祷師に拝んでもらった。祈祷師が「信州の伊那八幡の弁天様の水を飲ませれば孫は助かる」と言うので、さっそく三栗の鬼は伊那八幡まで走った。走り疲れた鬼の前に、弁天様が現れ「岩を掘って湧水を飲ませれば、孫は助かる。ただし道具を使ってはならない」と告げた。

急いで帰った三栗の鬼は、真言(マントラ)を唱えながら、素手で岩を掘り始めた。「おんぼろだやそわか、おんぼろだやそわか、おんぼろだやそわか、おんぼろだやそわか」爪は剥がれ肉はちぎれ白い骨が見えても、ガリガリと音を立てながら夜も昼も掘り続けた。

ようやく岩にくぼみができ、とうとう岩の穴から水が湧いてきた。三栗の鬼が、岩の井戸水をお椀に汲んで孫に飲ませると、すっかり元気を取り戻した。それからの両家の鬼たちは、仲も良くなり、湧水により畑も潤い、息子たちはめでたく結婚式を挙げた。

(紅子 2011-7-26 20:00)


ナレーション市原悦子
出典寺沢正美(未来社刊)より
出典詳細三河の民話(日本の民話65),寺沢正美,未来社,1978年04月10日,原題「田代川の鬼」,採録地「西加茂郡」,話者「後藤すえ、愛知県伝説集」
場所について三河国の田代川(地図は適当)
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地図:三河国の田代川(地図は適当)
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※掲載情報は 2011/7/26 20:00 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2016/1/25 21:16
信州信濃の伊那八幡宮の弁天様というのは神仏習合時代の話ではないか?
ゲスト  投稿日時 2015/3/15 13:07
川下の鬼は何をしたのか…
父  投稿日時 2011/12/16 22:23
子や孫が可愛い気持ちが物凄く伝わってきて涙無くしては見れない。孫のためなら自分の痛みや苦労すらも幸せに思える大きな愛を持った赤鬼に敬服しました。
私も子の父ですが子供のためなら幸せを感じる事はあっても苦労だとか大変だとか思った事はありません。我が子のためなら何でも我慢出来る。いや、我慢することすら幸せに思える喜びを感謝しながら生きています。
どうか児童虐待などがこの世から無くなりますように。地域や皆で助け合える世の中になりますように。人と人の距離が昔のように近くなれば困った時に助けてくれる人は大勢いるはずです。メールやネットは便利ですが人との距離を埋められないほど遠ざけてしまったような気がします。
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