昔、人が大勢暮らしている「長浜」というにぎやかな村がありました。この村の庄屋さんは、ちょっと変わり者の人間ぎらいで、長浜の屋敷を離れ山向こうの静かな浜辺に一人で暮らしていました。
ある日、この静かな浜辺に長浜の吾作がやってきて、「明日の婚礼へは必ず出席してくれるように」と、念を押して帰っていきました。翌日、しぶしぶ出席した庄屋さんは婚礼の途中で抜け出して、静かな浜辺の家に戻って行きました。
次の朝、庄屋さんが静かな浜辺に釣りに出掛けると、なんと一晩のうちに二つの島が出現していました。驚いた庄屋さんは「島がやって来たと聞けば大勢の人たちが押し寄せて、この浜辺は人間だらけになってしまう」と考えました。そこで家から大きな扇を持ってきて、「よその海へ行ってくれぇ、そーれそーれ」と言いながら島に向かってあおぎはじめました。
すると、やってきた二つの島は静かに沖へと動き出し、長浜の海辺へと移動していきました。長浜の村人たちは大喜びし、いつまでも大勢の見物人を集めて村はますます繁盛しました。にぎやかに暮らすのが良いか、貧しくとも静かに暮らすのが良いか、人によりけりって事ですね。
(紅子 2012-1-18 23:00)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 島根県 |
DVD情報 | DVD-BOX第10集(DVD第47巻) |
場所について | 島根県浜田市の大島天満宮 |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第050巻(発刊日:1981年6月) |
講談社の300より | 書籍によると「島根県のお話」 |
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