昔、岩国市にある愛宕神社の前の広場は、近所の子供たちの遊び場になっていました。中でも、山盛屋(やまもりや)の一人息子の善八(ぜんぱち)は、特に無邪気で元気な子供でした。
ある冬の夜、山盛屋に砂利のような小石が投げつけられるようになりました。山盛屋の両親は、近所の子供のいたずらだろうと思って最初は気にもしませんでしたが、石投げは毎晩毎晩続きました。人に恨まれるような商売はしていないし、犯人に心当たりもないので、両親も近所の人も不思議がるばかりでした。
やがてこの小石は一日に何度も飛んでくるようになり、石が飛んでくる時は善八が高い熱を出してうなされるようになりました。両親はおろおろするばかりでしたが、ふと見ると、天井の梁に立派な天狗のお面が引っかかっている事に気が付きました。このお面は、善八が愛宕神社のお堂の中から持ち出したもので、しかも鼻の先っちょがちょっと折れていました。
毎晩の石投げは、お気に入りのお面を壊されて怒った天狗がした事でした。両親は折れた鼻を修理して、三人で愛宕神社へお面を奉納して深々と頭を下げました。それからはもう小石が飛んでくる事は無くなりました。
(紅子 2012-1-22 1:06)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | クレジット不明 |
場所について | 岩国 |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第089巻(発刊日:1987年11月) |
講談社の300より | 書籍によると「山口県のお話」 |
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