No.0542
てだしとうげ
手出し峠

放送回:0339-A  放送日:1982年05月01日(昭和57年05月01日)
演出:フクハラ・ヒロカズ  文芸:境のぶひろ  美術:小出英男  作画:フクハラ・ヒロカズ
岩手県 ) 14548hit
九助が、おっかあに尻をたたかれて化け物退治をする

昔、ある所に貧しい村があった。その貧しい村の中でも一番貧乏なのはおリキの家だった。おリキは死んだ亭主の仕事を継いで木こりをしていたが、おリキの一人息子、九助(きゅうすけ)はどういうわけか家の中の仕事が好きで、おリキは近所から針仕事をもらっては九助にやらせていた。そんなおリキの悩みは、九助にもっと男らしい男になってほしいということだった。

ところでこの頃、村はずれの峠のほら穴から化け物が出るという噂がたった。村の衆は、化け物の噂を聞いて震え上がり、当分の間は街に行けないと困っていた。

ところがこれを聞いた九助は、「ふん、化け物一匹でまた大騒ぎしとるんかい?化け物なんかイチコロじゃ!」と息巻く。これを聞いた村の衆、「それなら、今からお前が退治に行ってこい。」と言う。しかしそう言われると九助は「オラ、いまは忙しいんじゃよ。」と言ってすごすごと家に帰って行った。

この様子を見ていたおリキは、その夜九助にこう言った。「男はな、一生に一度くらいは人をあっといわせにゃあかんな。」こう言って、おリキは九助に峠の化け物を退治するよう言った。九助は震え上がり、腹が痛いと言って布団にくるまってしまう。するとおリキは、柱にまさかりを投げつけてこう言った。「九助や、男は言った以上はやる!それが男の値打ちじゃ。」

九助は峠の化け物も怖かったが、まさかりを投げつけるおっ母のほうがもっと恐かったので、泣く泣くまさかりを手に、峠へ向かった。九助がほら穴の中を覗くと、中から大きな目玉がギョロっと九助を見据えた。「出た~~!」九助は慌てて逃げ帰った。

おリキはそれを聞いて、「よくやった。目ン玉を見りゃ、もう退治したようなもんじゃ。」と誉めた。そして次の日も、化け物退治に行くように言った。九助がいやがって寝ようとするものなら、またまさかりが飛んでくる。九助はまた泣く泣く峠のほら穴へと向かった。すると今度は、ほら穴から水かきが付いた大きな手が飛び出した。九助は、またもやすっとんで家に帰って来る。

そしてまた次の夜も九助は泣く泣く峠へ行く。すると九助の目の前にヌッと化け物が現れた。何と化け物の正体は、巨大なガマ蛙だった。九助は恐ろしさのあまりまさかりを振り回すも、ガマの化け物は襲って来る。九助は、とうとうガマに捕まってしまった。しかしガマの前足に叩かれたはずみで、まさかりは九助の手から離れ、宙を飛んでガマの頭に命中した。そしてガマはその場にドシンと倒れた。

次の朝、死んだガマ蛙を見て、村の衆はスッカリ九助を見直した。これを一番喜んでいたのはおリキだった。それからは九助が山で木を切り、おリキが針仕事をするようになった。そしてガマの大きな手が出た峠は、手出し峠と呼ばれるようになったそうな。

 

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-12-9 7:04)


ナレーション市原悦子
出典岩手県
DVD情報DVD-BOX第5集(DVD第24巻)
場所について岩手県北上市臥牛(地図は適当)
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地図:岩手県北上市臥牛(地図は適当)
追加情報
本の情報講談社テレビ名作えほん第074巻(発刊日:1987年4月)/二見書房[怪談シリーズ]第4巻_ひゃ~、化け物だ(発刊日:1995年7月25日)
講談社の300より書籍によると「岩手県のお話」
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※掲載情報は 2011/12/9 7:04 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
6件表示 (全6件)
パンチョ  投稿日時 2012/8/17 19:49
やっぱり、座敷わらしが出そうな家の近くには、妖怪が住み着きやすいのかな?

そういえば、河童の目撃例って九州地方にとても多いそうですね。
えっと・・・、紅子さんはこの話、ご存知かもしれませんが、河童は昔、中国の黄河上流に住んでいたそうです。
しかし、その河童の一部がより良い地を求めて海を渡り、九州に上陸した。
そこが熊本の辺りだったらしいんですね。
九州に河童が多く目撃されるのは、そのせいなのかもしれません。(あるいは気候や、川の水質が河童に合っているからかな?)

だから、紅子さんのおばあちゃん家の近くの川に、河童が住んでいてもおかしくないんじゃないかなぁ~と、僕は思います。(本当ですよー!)
そう考える方が楽しいし、ロマンがありますもんね!

そういえば、河童って、アメリカにもいるそうですね。向こうではウォーターインプと呼ばれているそうです。そして河童は、ヨーロッパの方にもいるらしいです。
彼らの姿形は、やはり日本の河童に良く似ているそうですよ。
パンチョ  投稿日時 2012/8/17 19:27
日本の山のほとんどは未開の地なのですか。
なるほど、そう考えると、確かに山に得体の知れないモノがいてもおかしくはないですね。

そういえば、うちの母は大学時代、山岳部に所属し、色々な山を登ったそうですが、やはり山の中で色々と不思議な体験をしたそうです。
リアルで怖い体験は、山の中で死人を発見してしまったことだそうです・・・(汗)

もみじさんの言うとおり、山には危険がいっぱいありますね。そして、不思議な出来事も、山ではちょくちょく起こる気がします・・・。
山に入る時は用心しないといけませんね。

もみじさんが教えてくださった北越奇談は、非常に興味深かったです。
何気なく腰掛けたイボイボの岩場が、実は大ガマの背中だったとは・・・!
う~ん、考えただけでも背筋が寒くなるような怖い話ですね・・・!

もしかしたら、自分と弟が見た巨大蛙はこれと同じか、あるいはそれに類似する生き物だったのかも・・・?(生き物っていうか、妖怪かな?)
手出し峠に出てきた大ガマも、ひょっとしたら北越奇談に出てきた大ガマと同じ種類なのかもしれないですね!
もみじさん、ありがとうございました。おかげで、本当に、なが~い間、謎で仕方なかった大ガマ遭遇事件にこれでピリオド打てます!僕らが子供の頃目撃した巨大蛙は、どうやら実在するらしいと知り、腑におちました~。
beniko  投稿日時 2012/8/14 4:41
なかなか面白いお話ですね、思い出を投稿いただきありがとうございました。

私のおばあちゃん家も農家でしたので、座敷わらしが出そうな家でした。記憶にはないけど、昔は馬も飼っていたらしく(農耕馬)、馬小屋や大きな納屋もあったし、川も流れていたので、子供の頃に河童の話を聞いたことがあります。
河童は馬と仲良しで、よく馬小屋にやってきては馬のたてがみや尻尾の毛をキレイにとかしたり、三つ編みにしてくれてたそうです。

私のおばあちゃん家近くの川には、河童がいたのかも。えへへ。
もみじ  投稿日時 2012/8/14 2:24
パンチョさんのお話、興味深いですね。
Wikipediaで大蝦蟇(おおがま)で検索すると、以下のような話があります。
食べられなくて良かったですね((((;゚Д゚))))

日本の国土の約七割が山です。そしてほとんどが手つかずです。山岳信仰も盛んにありますし、そういった昔話も多いです。
山に得体の知れないものが居ても全くおかしくないと思いますよ(・ω・)ただ、知ってしまうと、ちょっと山に入るの怖くなりますよね…(;´Д`)

因みに、私の姉は旦那と旅行中、山道を散策していると、突然旦那が「ストップ!」と言ったそうです。そして道におちてた小さな石ころを前方の道に落ちている枯れ枝に向かってぽいと投げた。

すると、枯れ枝が起き上がった。(;゚Д゚)!
起き上がったのは枯れ枝じゃなくて、蛇でした。

鎌首もたげる → 毒蛇の危険性。
姉たちは帰り道が蛇のいる先の道しかないので、どうにもできず、しばらく動かずににらみ合いを続けた結果、蛇は山の中へ入っていったそうです。
旦那さんは、なんか微妙に動いてる…と思って石を投げたそうです。賢明な判断だったと思います。

結論:山には危険がいっぱい。


北越奇談(ウィキペディアより)
越後国村松藩(現・新潟県中蒲原郡村松町)で、藤田という武士が河内谷の渓流で釣り場を捜していたところ、山深くの淵のそばに突起だらけの3畳ほどの岩場を見つけ、絶好の釣り場と思い、その上でしばらく釣り糸を垂れていた。
川向かいでも別の武士が釣りをしていたが、その武士は急に帰り支度を始め、藤田に手真似で「早く帰れ」と示して逃げ去った。藤田も不安を感じ、釣り道具を片付けてその武士を追って理由を尋ねたところ「気づかなかったか? 貴公が先ほどまで乗っていたものが、火のように赤い目玉を開き、口をあけてあくびをしたのだ」と恐れながら答えた。
再び2人が元の場所へ戻ってみたところ、藤田の乗っていた岩とおぼしきものは跡形もなく消え失せていた。あれは岩ではなく大蝦蟇であり、突起と思ったものは蝦蟇のイボだったと推測されたという。
パンチョ  投稿日時 2012/8/14 1:36
劇中で、九助が倒した巨大ながま蛙って、もしかしたら実在したんじゃないかと思うんですよね。
実は、このお話に出てきた巨大がま蛙に似たやつ、自分も見たことあります。
おばあちゃん家の前で見ました。・・・この話、人に話してもなかなか信じてくれないんだけど、本当に見たんですよ!

そいつと出会ったのは自分が6歳になった年。ちょうど今くらいの季節でした。
その日、自分は弟と一緒におばあちゃん家の前に流れている小川の側で、小魚なんかを捕って遊んでいました。時刻は夕時で、ひぐらしの声を聞きながら、自分と弟は小川の側で遊んでいたんです。

小魚捕まえるのにも飽きてきて、そろそろ帰ろうかな・・・と思った時です。なんか、自分の前方に妙な空気が漂っている気がして、うつむいていた顔を上げました。
すると、自分の目の前の岩の上に、どっかと腰をすえている巨大蛙がいたんです。
・・・初め、これは置物なのかと思いました。生身の蛙に見えなかったんです。よく、飲食店の店先に飾ってあるタヌキの置物の類かと思って、(誰がこんなとこに置いたのかなあ。)などと思ってしばしぼんやりとしていました。
ぼーっ、としていると、なんか弟が真っ青になっているんですよね。「なに?」って、自分が聞いたら、弟は、「それ・・・、生きてるよッ!」と言って叫ぶじゃないですか。
僕は驚いて巨大蛙の方を見ると、確かに、そいつ、生きていたんですよね。ハアハア言ってたし、僕は、そいつと目が合ったんです・・・。(げっ!こいつ、生きてるんだ!)

弟はびっくりしてその場から逃げ出してしまいました。
自分も逃げよう!・・・と、思った瞬間。頭の中にお馬鹿な考えが浮かんだ。
(もしかしたら、こいつを捕まえたら新聞に載っちゃうかも?賞金とか貰えちゃうかも・・・?)
などと考え、無謀にもその巨大蛙に突進してみました。そして蛙に大接近したとき、これは勝ち目は無いな・・・と、思いました。
・・・そいつ、むちゃくちゃでかかったんです。
さすがに九助が退治した化け蛙程ではなかったけど・・・。(苦笑)
大きさで言うと体長1メートル5~60センチくらいはありました。その当時の自分より大きかったわけですからね・・・。捕まえるなんてとても無理だった。
食われるかも・・・と、恐怖を感じた自分は、弟と共にダッシュで現場から逃げ出したのですが、あれは一体なんだったのか・・・。

あの出来事があってから数十年後。僕ら家族は、久しぶりにおばあちゃん家に行ました。
みんなで夕ご飯を楽しく食べ、その後、まったりとお茶を飲み、昔話に興じてた時、ふっと、何気なく、昔遭遇した巨大蛙の話を話したら、みんな特に驚く様子も無い。
(何故、驚かない?)と思っていた時、おもむろに話を聞いていた母が、話し出した。

「私は、巨大蛙なんてものは見たこと無いけど、子供の頃、近所の溜池で、赤ちゃんの顔くらいあるおたまじゃくしを見たことがあるわよ。」

赤ちゃんの顔くらいあるおたまじゃくし?!そんなのこの辺りに生息してるのか~。(汗)
って言うか、そんなでかいおたまじゃくしなんて存在するんだろうか?
ポカンとしている自分に、おばあちゃんは笑いながら、「ここは山の中だから。そういう変わった生き物も、いんのかもしんねぇなあ」と。

確かに、おばあちゃん家は古い・・・というか、昔ながらの農家。といった造りの家に住んでいて、子供の頃は座敷わらしでも出てきそうだなあ・・・なんて思うことがあったけど。
座敷わらしが住み着きそうな家の近くには、化け蛙のようなヤツも住み着くんでしょうか。
今になって思うと、たぶんあれは妖怪か何かだったと思うのです・・・。

あれから数十年・・・。おばあちゃん家には何度も遊びにいったけれど、あれ以来、化け蛙の姿を見ることは無くなりました。
yassan  投稿日時 2011/12/9 7:17
お話の手出し峠ですが、はっきりとした場所は分かりません。ただ、北上市の臥牛周辺であることは、確かなようです。

http://www.edu.city.kitakami.iwate.jp/saraki/gakkousyoukai/gakku.htm

あまり参考になりませんが、下記のサイトに大正期の歌人、若山牧水が手出し峠を徒歩で越えたという記述があります。(4番目の記事)やはり北上市の臥牛に歌碑があります。

http://yakusi.kumadori.com/CCP.html
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