昔、小田原に勘安(かんあん)という力持ちで働き者の男がいた。この男は普段は気が弱いくせに、大好きな酒を飲むと気が大きくなるのが悪い癖だった。
ある年の秋、勘安は山に入り炭を焼いていた。 するとそこに小さな蛇がやってきて、勘安はビックリする。 たまたま通りがかった木こりがその小さな蛇を追い払ってくれたが、木こりはこんな小さな蛇に驚くなんて、臆病だなと笑って去って行った。
ほっとした勘安は酒を飲み始める。しばらくするとまたさっきの蛇が現れた。 酔っぱらってすっかり気が大きくなった勘安は、今度は蛇に驚かず、 「蛇なんか引き裂いて食ってしまうぞ!」と言う。 すると勘安の頭を何かがペロリと舐めた。振り返った勘安が見たのは、見たこともない大きな大蛇だった。 大蛇はまたペロリと勘安の頭を舐めた。 「やめろ!何するんじゃ。やめんとひどい目にあわすぞ!」そう叫ぶ勘安を大蛇はひとのみに飲み込んでしまった。
翌朝、勘安の炭焼き小屋を通ったきこり達は、勘安の一升徳利を見つける。 木こり達は口々に、「なんで、こんなところに、勘安の徳利が?」 「毎日酒を飲んでる勘安のことじゃ。ペロリと蛇にでも飲まれちまったんでねぇか。」などと笑いながら通り過ぎていった。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 神奈川県 |
DVD情報 | DVD-BOX第5集(DVD第25巻) |
講談社の300より | 書籍によると「神奈川県のお話」 |
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