昔々、山奥のある村が、大変な日照りに困っておった。何しろ普段でも、水の便が悪い山村であったから、村人たちにとっては生死にかかわる問題であった。
そんな村人たちの前に、ある日、疲れ果てた様子の旅の僧が現れた。村人たちは自分の事もままならないのに、旅人まで介抱してやる余裕がなどなかった。
そんな中で、トクという若者だけは大切にとっておいた最後の水まで与えて親切に介抱してやった。トクのもてなしですっかり元気を取り戻した僧は、トクに深く感謝した。
旅の僧は村が水で困っていることを聞くと、持っていた錫杖(しゃくじょう)を地面に突き刺し、「ここを三日三晩一睡もせずに掘り続ければ水が湧き出る」と言うと、どこともなく消えていった。
村人たちは誰一人と信じなかったが、トクだけは僧の言葉を信じて穴を掘り始めた。村人たちはトクをあざけり笑ったが、トクと幼馴染のタエだけは一緒になって掘り続けた。そうして三日目、旅の僧の言った通り、青く澄んだ水が滾々と湧き出てきた。
その後、この井戸は不思議にかれることもなく、いつまでも透明な水が湧き続けたという。一方、トクとタエは、村人たちに祝福され、はれて夫婦となり、貧しいながらもいつまでも仲良く幸せに暮らしたという。
(紅子 2013-6-22 10:16 ※アニメ台本より)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | 辻田三樹恵(晴文社刊)より |
出典詳細 | ※風の長者さま、に収録されていると思うが、全部読んでみたけど該当するような民話の掲載がない。なんだろう。 |
備考 | 読みは「みょうと」かもしれない、出典元はまんが日本昔ばなしアフレコ台本にて確認した。 |
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