ある漁村では魚がたくさん捕れたので、村の人々は豊かに暮らしていた。
その活気ある村で、魚を捕るのが苦手なスボロという若者がいた。間抜けなスボロは村の人からは相手にされず、一人だけポツンと離れたところに暮らしていた。
スボロは村の人たちが漁から帰った頃に、人目を避けて漁に出掛けたが、やはり魚は捕れない。食べるものも無くみじめで悲しくなり、ある夜、自殺するつもりで夜の海に漕ぎ出した。船の上から身を乗り出すと、これまでに見たことがないくらいの大きな魚が現れた。銛(もり)が刺さって大けがをしていたので銛を抜いてあげると、大魚はお礼にと自分の目玉をくれた。
大魚の目玉で海の中を見ると、海の中はどこまでも澄んで見え、魚のいる所や魚の気持ちもわかるようになった。スボロが海に釣竿を垂らすと、どんどん魚が釣り上がってきた。あっという間に小さな船にいっぱいになる程の、沢山の魚を釣り上げた。
自信をつけ嬉しくなったスボロは、意気揚々と村に帰った。もう、村ではこの若者をスボロと呼ぶ者はいなくなった。スボロはいつでも好きなだけ魚を捕ることができ、やがて嫁さんをもらい、いつまでも幸せに暮らした。
(紅子 2011-6-27 4:37)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 辻田三樹恵(晴文社刊)より |
出典詳細 | 風の長者さま,辻田三樹恵,晴文社,1978年12月24日,原題「赤目の漁師」※かもしれない |
備考 | 読み方不明、出典元はまんが日本昔ばなしアフレコ台本にて確認した。 |
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