昔ある山国の村に、伊助という正直で働き者の若者がいました。朝から晩まで村人達の手伝いをしていた伊助でしたが、ある年の事、都の公家さまのお屋敷に奉公に行く事になりました。
公家さまの家でも、伊助は真面目によく働きました。長い長い年月がたち、年をとった伊助は故郷が懐かしくなって、公家さまからお暇をもらって帰省する事にしました。公家さまは、よく働いてくれたお礼にと、伊助に位を授けてくれました。
頭に冠(かんむり)を乗せて立派な衣を着た伊助は、何十年ぶりに懐かしい故郷へ戻りました。村人たちは、立派な位をもった伊助を褒めたたえ、みんな心から帰省を喜びました。しかし、態度まですっかり偉そうにふるまう伊助に、昔馴染みの村人たちは次第に距離を置くようになりました。
伊助は、立派な位を持ったためにすっかり人が変わってしまった自分に気が付き、恥ずかしくなりました。再び都へ行って立派な位を公家さまにお返しし、晴れ晴れとした顔をして村に戻りました。それからの伊助は、村人たちと仲良く一緒に仕事をし、幸せな余生を送りました。
(紅子 2012-3-31 0:10)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 山梨県富士吉田市 |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第085巻(発刊日:1987年9月) |
講談社の300より | 書籍によると「山梨県のお話」 |
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