昔、まだお釈迦様がこの世を治めていた頃、とてもおしゃれ好きのキツツキがおりました。
キツツキは朝から晩まで水鏡で自分の姿をうつしては身づくろいに余念がありませんでした。泥まみれで働くスズメや、土の中で暮らすミミズに「そんな恰好じゃみっともないですよ」といつも言っていました。
ある日のこと、お釈迦様が急な病で倒れてしまい、これを知った動物たちはいっせいにお釈迦様のもとへ駆けつけました。一番にかけつけたスズメは泥で汚れて真っ黒でしたが、お釈迦様はたいそう喜んで「米が実ったら誰よりも早く米を食べてもよい」と言いました。その次にやってきたミミズには「この世の土を全部やろう」と言い、他の動物それぞれにもご褒美を与えて、そして亡くなりました。
ところが、キツツキだけは髪型の乱れに気を取られて、お釈迦様の死に目に間に合いませんでした。でもお釈迦様は「一日に三匹だけ虫をやろう」と、遺言を残していました。それ以来、キツツキは一日中、木をついばんでほんのわずかの虫しか食べられないようになりました。
そこで昔の人々は、あまりおしゃれしてばかりいると「今にキツツキになるよ」と、いうようになりました。
(紅子 2011-11-28 0:48)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 滋賀県余呉町 |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第062巻(発刊日:1986年10月) |
講談社の300より | 書籍によると「滋賀県のお話」 |
このお話の評価 | 8.67 (投票数 3) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧